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医療報道を斬る

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2008.04.28
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カテゴリ:医療
 故意や常識を外れた酷い過失による被害で刑事責任を問われることには異存はないが、調査委員会などでその様な事例ではないことが認められても警察の捜査を受けるのであれば、調査委員会の意義とは何だろう。そもそも、きちんと情報をフォローしている医師は幻想を持たないだろうが、医師会などからの情報を鵜呑みにしている医師達は、調査委員会が悪質な事例として警察に届けなければ捜査を受けないものと思いこんでいるかも知れない。

 MRICのメールマガジンより、【国立病院機構名古屋医療センター 産婦人科 野村麻実 先生】の文章を全文引用します。「医療安全調査委員会の第三次試案」についての大変重要な記事です。


 今回の記事は転送歓迎します。その際にはMRICの記事である旨ご紹介いただけましたら幸いです。

                       MRIC(エムリック)田中
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 医療安全調査委員会の第三次試案を、医師の皆さんは調査委員会の結論が出る
までは警察の捜査がストップされると、期待してはおられないでしょうか。そう
お考えになるのも当然だと思います。第三次試案を読めば、そのように受け取れ
る記述があり、また日本医師会もそのような説明を会員にしているからです。と
ころが、そのような期待は医師側の勝手な解釈であることが、先日の国会質疑で
明らかになりました。警察はたとえ調査機関の通知がなくても捜査することを、
刑事局長が明言したのです。この答弁で、第三次試案には警察の捜査をストップ
させるような法的根拠がまったくない事実を、私たちは突き付けられました。

 国会質疑の模様をご紹介しながら、今浮かび上がっている問題点を述べてみた
いと思います。

 4月22日、決算行政監視委員会第四分科会において、衆議院議員で「医療現場
の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」に参加している橋本岳議員が、第三次
試案について国会質疑を行いました。その内容はインターネット上の録画
(http
://www.shugiintv.go.jp/jp/wmpdyna.asx?deli_id=39012&media_type=wn&
lang=j&spkid=11744&time=02:39:37.1)で見ることができます。

 質疑の相手は、法務省・警察庁の局長であり、主な論点は、厚労省と警察庁あ
るいは法務省の間で交わされた「文書」の有無です。なぜ文書の有無が論点になっ
たか。それは、第三次試案の記載だけでは、医師が法的に守られるのかどうかが
分かりにくく、調査委員会の結論が出るまで警察の捜査がストップされるという
ことが文書で示されているかどうかを、省庁間の明らかな合意を明らかにするの
が目的でした。

 橋本議員はまず、4月3日の日経メディカルオンラインの記事
(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200804/505980.html)
に、「法務局や検察庁などからは、この案の公表について了解する旨の覚え書き
を得ている」との記載があったことを基に、省庁間で交わされた文書の有無を確
認しました。すると法務省・警察庁は、この第三次試案について一切の文書を取
り交わしたことがないと回答しました。

 この記事内容そのものは記者会見場での出来事で、私たち現場医師に事の詳細
を知ることはできませんし、大した問題ではありませんが、この答弁自体は非常
に重要だと考えられます。実はこれまで「文書」の存在を匂わせ、警察の捜査が
ストップされるような両省の合意があると受け止められる記事が、日本医師会よ
り何度か出されていたからです。

 たとえば、日医ニュース第1117号(平成20年3月20日号)の中で木下勝之・日
本医師会常任理事の名前で出された「刑事訴追からの不安を取り除くための取り
組み ―その4― ―新しい死因究明制度に反対する意見に対して―」と題する記
事の中に、文書の存在を示唆する「明文化」「明記」という言葉が2度出てきま
す。

 1カ所目は、質問2の回答部分です。原文では「一方、委員会の判断に基づき警
察に通知が行なわれない事例に関しては、訓告結果が調査報告書として遺族に渡っ
て、遺族が警察へ行き刑事罰を主張しても、捜査機関は、調査委員会の医学的な
判断を尊重して、原則として捜査を開始しないことが明文化されています」となっ
ています。

 2カ所目は、質問3、4に対する回答部分で「繰り返すまでも無く、医療関係者
を中心とする調査委員会から捜査機関へ通知される事例は、極めて限定的な「重
大な過失」事例だけであり、通知されない事案には、原則として捜査機関は関与
しないことが明記されている」と記載された部分です。

 このニュースを読んだ医師らは、「厚労省は法務省・警察庁との間で、調査委
員会の通知なしには刑事捜査を開始しないという内容の合意の文書なり覚書を作
成した」と受け取ります。しかし、このたび法務省と警察庁は合意文書の存在を
きっぱり否定したのですから、上記は医師の勝手な希望的観測に過ぎなかったこ
とになってしまいました。

 また木下理事は日本医事新報No.4381(2008年4月12日)p11の記事で「故意に準
じる重大な過失、隠蔽、改竄、リピーター以外は捜査機関に提出されず、それ以
外の報告書も刑事処分には利用しないことを警察庁、法務省も了解済みであるこ
とを説明」と明記し、日本医事新報No.4381(2008年4月12日)p12-15においては
「報告書は遺族に返すので民事訴訟への使用を制限するのは難しいが、刑事処分
には持っていかないことを警視庁、法務省も了解している」と説明しています。
これらは、前述した警察庁の答弁とはまったく合致しません。

 木下理事の説明は客観的には誤りであると言わざるを得ませんが、これは医師
会の責任なのでしょうか。 まさか、医師会が意図的に会員医師らを欺くとは思
えず、医師会が厚労省から虚偽の説明を受けて、誤解してしまったとしか考えら
れません。つまり医師会は騙されたのではないでしょうか。医師会は特に法的な
問題点に関して説明を受ける立場にありますが、法務省・警察庁から説明を日医
は受けてきたのでしょうか?受けていなければ、関係省庁との調整を行う厚労省
の怠慢、いや欺罔だと言ってもいいでしょう。

 そもそも、仮に第三次試案の別紙3「捜査機関との関係について」が法務省・
警察庁との合意に基づいて発表されたものであるとしても、その内容は実のとこ
ろ「遺族から告訴があった場合には、警察は捜査に着手することとなる」(別紙
3問2の答え)わけで、現状と何も変わらないことを明記してあるだけです。22日
の国会質疑においても警察庁米田刑事局長は「遺族の方々には訴える権利があり、
警察としては捜査する責務があり、捜査せざるを得ない」「(委員会が通知に及
ばないという結論を出した場合にでも)個別の事件の判断で遺族の方々の意思と
いうものがもちろんあるから、捜査するしないについては言及できない」旨の答
弁を行っています。つまり別紙3は医師に過剰な期待を抱かせるべく、形式上
「文書」にしてあるに過ぎません。

 厚労省は「文書がある」と日医には嘘をついてきたはずだと思うのです。だか
ら冒頭の日経メディカル記事の記者会見でわからないなりに「文書」「覚書」な
りとにかくそれ風のことを嘘ではないけれどいわねばならなかったのだと思いま
す。さすがに嘘は言わなかったでしょう。しかし勘違いさせることのできる言葉
を並べたはずです。言いもしないことが、メモされるはずがないのです。報じら
れたことそのものよりも重大であったのは現場医師にとって「厚労省は誠意がな
い」と心から確信できる事実そのものだったと私は考えています。

 医療安全委員会に関わる関係省庁は厚労省だけではありません。次回試案から
は、法務省・検察庁に加えて、日医も入った形での試案作りをすべきではないで
しょうか。でなければ、今後も同様のこと、つまり日医や医師が騙されるような
事態が起きる可能性が否定できず、あまりにも危険すぎて論議の対象にさえでき
ません。

 医療安全委員会をその理念どおり運用するためには、刑法を改正または特別法
を制定して、医療過誤に関する業務上過失致死傷罪[刑法211条1項]を親告罪
にするとともに、刑事訴訟法を改正または特別法を制定し、医療過誤案件に関し
ては、医療安全調査委員会の「刑事手続き相当」の意見がない限り、捜査機関は
捜査に着手できず、また検察官は起訴できないようにすることが必要です。法務
省・検察庁の協力をオブザーバー程度で終わらせないようにするためにも、また
厚労省が「自らの権限拡大を狙っている」と勘繰られないためにも、三者の間で
協議をより密におこなうことが課題であると考えられます。

 同様に、民事訴訟の乱発抑制のためには、民事訴訟法を改正または特別法を制
定して、医療過誤案件に関しては、訴訟提起前に裁判所の民事調停ないし認定A
DRの手続きを経ることを義務化し、そこでは医療安全調査委員会の報告書をも
とに紛争解決を図るものとすることなど、法的な対策を講じていただきたいと考
えております。


著者ご略歴
平成4年4月 名古屋大学医学部入学、平成10年3月同卒業
平成10年 岡崎市民病院勤務
平成13年 名古屋大学附属病院勤務
平成14年 名古屋大学大学院医学研究科産婦人科学入学
平成17年 名古屋大学大学院医学研究科産婦人科学卒業
平成17年 津島市民病院勤務
平成19年 国立名古屋医療センター勤務
産婦人科認定医 医学博士


 私も先日パブリックコメントを厚労省に送ったのですが、送る前にこの文章を読んでいたら、もっとまともなことが書けたかも知れない。送信した文章を見て、少し落ち込んでいます。このブログを見ている人は先刻ご承知ですが、文才無いなあ。





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Last updated  2008.04.28 13:07:20
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