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カテゴリ:芸風リセット
金縛りにあいかけた。
気づいた時には身体が強張り始めている。 目は開いていないはずだが、視界の隅で何かが像を結ぼうとしている。 見てはいけない。咄嗟に判断し 緊迫した雰囲気を逸らすために、ペットの名前を呼ぼうとするが あと一息のところで言葉にならない。 しばらく慎重に気持ちを整えて どうにかやり過ごして目を開けると午前3時。まだ闇は濃い。 きっと彼女だ。身じろぎもできず考える。 日中、近所の郵便局へ行き、用事を済ませて表に出ると いつになくキャッシュコーナーに行列ができている。 歩きながら何の気なしに顔を上げると最後尾の人と目が合う。 瞬間、「憑かれる」と感じる。 見開いた大きな目には血管が走っている 長い黒髪、薄汚れた白い服、赤い口元が微かに笑いの形に変わろうとする あれは異界のものだ。 平静を装い、近くの雑貨店に入る。悪いけどここで落としていこう。 しばらく店内を歩き回ったあと その先の洋服屋に向かう。 郵便局の方を振り返るが、ちょうど死角になっておりよく見えない。 私が余程険しい顔をしていたのか、洋服屋の店員はあれこれと親切に話し掛けてくれる。しかし動転していてうまく答えられない。 間が悪い。外を気にする私の目線を追ってか、彼も外を見る。 そのうち女性の店員に交替して、いつの間にか彼はいなくなった。 もしかして彼女は店の外で私をそっと待っていたのかもしれない 暗闇の中でそう考えた。 (based on an eerie experience that happened to me yesterday) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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