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東京DOLL
石田衣良
講談社文庫

マスター・オブ・ゲーム＝MGと呼ばれる天才ゲーム
製作者・相良は、新作のモデルに翼のタトゥを
背負った少女・ヨリを選ぶ。

映像モデルとして完璧な「人形」ぶりを発揮するヨリに、
MGの孤独は癒されていく。

だが、彼女には愛する男の不幸が見えるという異能が
あった。

東京の今を描いた長編小説。


東京の街を舞台としたゲームの新作のイメージをつくるために
モデルを探していた主人公が、モデルとなるヨリと出会い、

六本木、浅草など東京の街を背景に写真を撮り続けていく中で、
二人の中の感情の変化が描かれている。


恋愛小説は男と女とその間の感情の揺れ動き、という
どの作品でも軸は変らないのに、どうして作品によって
こうも新鮮に響いてくるのだろうか。

登場人物もまったく今の自分とはまったくかかわりのない
仕事をしていて、違う生活環境なのに、読んでいると
ついつい入り込んでしまう。

この小説では、主人公が映像モデルとしてヨリを育てていく過程で、
だんだんと人形に思い入れをもっていく主人公の心の変わりように
引き込まれた。

人の気持ちというのは、みんなが同じようにもっているが、
職業、立場などいろんなものが間に入ることで本当の気持ちが
何なのかわからなくなっているのかも。

一番大切なもの（事、人）はなんだろうか？

この小説を読んであらためて考えさせられた。


ふつうによんでもとてもおもしろいので、
機会があればまたよみたいなと思う


自分の中のひっかかり
・MGは自分のために金を使うのはもう飽きていた。
　誰かのために使うほうがずっと楽しく、つかいでがある。

　MGは引き伸ばされた青春期の終わりにいた。
　その変化が年をとった証拠だとはまだ気づいていない。

　ひとりでは生きられないのだと身体に染みて理解すること。
　それが大人になることだともまだわからない。
　
　MGがマスターしているのはゲームだけで、生きることは
　誰にもマスターできない永遠の試行だ。

・成功と富と時間は人を変えるのだ。
　若くして成功することが、これほど退屈なことだとは、
　MGは想像もしていなかった。

　成功のサイクルは一度覚えてしまえば、実に単調な
　ものだ。あとは永遠の繰り返しが待つだけなのだ。

東京DOLL

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