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カテゴリ:音楽・テレビ・映画・小説
ストーリーは単純明快です. ただ結論に導くための調査設計が甘いような気がします. 限られたバイアスのかかった集計データから,推測がかなり入った考察をしているのでミスリードのおそれがあります. いかなる心理的側面が他人を見下す背景にあるのか,についてはもっと慎重に議論をすべきかと思いました. 例えば,筆者は仮想的有能感(他者軽視)という概念を提示し,若者だけでなく,すべての年齢層に広がっていることを論じた. しかし,自尊感情が低いのに仮想的有能感の高い,いわゆる仮想型という有能感タイプは,明らかに若い人ほど多い. これがどの世代でも繰り返される発達的,暦年齢的な差異なのか,いわゆる文化差に基づく世代差なのかは,現在のところ不明であるが,言うまでもなく,われわれは世代差的なものが強いと考えている. そして,仮想型の有能感を持つ人たちが,わが国において今後増大すると予想される. 一方,年配層も問題がないわけではない. 自尊感情も仮想的有能感も高い全能型が占める割合が現在の時点で多いのである. 自分を過信して他者を見下す50台,60代は確かに少なくない. 筆者の印象で語られる部分も少なくないし,世代差が生まれる要因については教育される側の問題か,教育する側の問題か,特定のコーホートが置かれた時代的背景によるものか,判別が難しいなかで推測の議論がどうしても多くなる. 若者に対する解決策として,1.本当の意味でのしつけ,2.自尊感情の強化,3.自由にコミュニケーションできる場を増やす,が挙げられる. 自尊感情を強化するだけでは,現在の高齢層が抱く全能型に近づくだけであろう. 子どもに対するしつけというよりは,親への教育のあり方が問われているのではないか. 子のストレスは親のストレスを受けている.ストレスは弱い立場に置かれているものへ移転していく. そうした構造的な問題が横たわっているのなら,若者が個人で対処できる方法はそれほど多くはないのではないかと思います. お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.07.17 06:44:23
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