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教育委員会とはどういう組織で,委員の顔ぶれと人選,設立の歴史的経緯,改革への展望と,新書といえども非常に骨太の考察がなされています. 都道府県,市町村ともに教育委員候補専任のプロセスはブラックボックスであって,首長が議会に提案する際の人物評価や活動歴からは全く分からない. 国家主義的な地方教育行政法の作り上げたシステムを,戦後の教育委員会法と比べる時,最も大きな変化は教育委員の任命方法にも増して,地方教育委員会に対する文部省,そして市町村教育委員会に対する都道府県教育委員会の「統制」を制度化したことだ. 不思議に思えるのは,教育委員会制度についての教育行政学者の言説が,中央教育行政組織のあり方に及んでいないことだ. 教育委員会制度の理想主義の精神の回復や教育統治過程への「直接参加」は,中央から自治体に至る教育行政の構造を根本から変えなければ,実現を見るものではないだろう. 地域レベルでの教育委員会制度の重要性をいう教育行政学者も,タテの行政系列を支える人々なのだ. 最後に教育の展望が述べられます. 教育の基軸におかれるべきなのは,ローカル,ナショナル,グローバルの関係性をバランスよく教え,相互の重要性を理解できる基礎学力と感性を涵養することであるといえよう. もちろん,日本における公教育としての学校教育だから,当然,日本の言語,歴史,文化の教育・学習が中心となる. それは日本人のみではなく日本に暮らす外国人の生活にとっても,不可欠な知識である. ただし,強調しておきたいのは,それを多角的視点から教育することだ. 特に,教科書無償化問題に触れ,教育を受ける権利の根幹とは,教育内容の自己決定権でなくてはなるまい. 教科書の決定権が誰にあるのか,決定権はいずれも子供たちの学習状況などを踏まえた教員,学校,自治体教育行政にある. 教科書を子どもたちに無償供与するか無償貸与するかは,教育内容の自己決定権に付随する財政責任の問題であり,順序は逆ではないのだ. -------------------------------------- 今まさに中教審で道徳の特別教科への位置付けについて議論がなされているところです. 中教審答申を受けた下村文部科学大臣は、「今回の答申を契機に学校での道徳教育の充実を図るのはもちろんのこと、家庭や地域との連携を強化して社会全体でこれからの時代を担う子どもたちのよりよく生きる力を育成することができるよう力を尽くしていきたい」と述べた.(NHKニュース) その背景には,いじめの問題が大きいとされていますが,本質はもっと違うところにあるのではと思います. 道徳の教科書が作られますが,ここで国による価値観の押し付けにならないかが懸念されます. 多様な価値観を認める社会の実現こそこれから求められる教育のあり方なのではないかと思います. お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.10.22 00:52:57
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