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カテゴリ:音楽・テレビ・映画・小説
郊外論の行方を左右するのは,団塊ジュニア世代がどこに住まうかです。 本書では,カルチャースタディーズ研究所などが,男女20~69歳の5,932人(埼玉,千葉,東京,神奈川および茨城県の一部在住者)を対象に行ったインターネット調査によっています。 団塊ジュニア世代が東京圏のどこに住んでいるかについてまとめると, 1.未婚で,所得が比較的低いものは,郊外を中心とした親元の家に同居を続けている。 2.未婚で,所得が比較的高いもの,あるいは既婚で子どもがいない夫婦は,23区内の都心部から西南部にかけての,比較的ブランド性の高い地域に住む。 3.既婚で子どもがいる,所得が一般的な世帯は,東京スカイツリーライン沿線や千葉ニュータウン方面などの大衆的な郊外住宅地に住む。 4.既婚で子どもがいる,比較的裕福な世帯は,23区内の西南部,またさらにその西南の東急田園都市線沿線にかけての,比較的ブランド性の高い地域に住む。 所得の階層によって,明確に住むエリアが分かれています。 居住地域への指向性は,それぞれのエリアのブランディングを行う私鉄系不動産会社の戦略によるところが大きいと感じます。 特に,東急田園都市線は,明確に高所得の若いファミリー層にターゲットを絞った都市開発を行っていて,そのことがアンケートにも表れているようでした。 引っ越し前に,武蔵小杉の再開発を目の当たりにしてその勢いを感じました。 JR南武線や横須賀線も乗り入れており,乗り換えの結節点としての地の利もあります。 それ以外の郊外では,自分のライフスタイルで住む地域を選ぶ時代になると指摘しています。 都心のタワーマンション,世田谷・目黒でコーポラティブハウス,さいたま市の自宅でSOHO,下町でアーティストインレジデンス,都心でシェアハウス,地方でロハスな暮らしなど 最後は,郊外の中で選ばれない地域では,空き家が増えていくとして,コミュニティのために再生する方法を提示しています。 かなり大胆な予測もありますが,不動産価格などを見ていると,だいたいはあてはまるのかもしれません。 郊外論が一筋縄では語れない理由がそこにはあります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015.10.02 07:11:58
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