|
カテゴリ:音楽・テレビ・映画・小説
格差論はたくさんありますが,それらの議論を補強するかたちになっています。 言葉の定義について参考になったので整理しておきます。 豊かさと格差と不平等について。 豊かさとは,社会の状態を示す標準値(GDP,平均所得,大学進学率など)が年を追って高まっていることができます。 ただし,それは社会全体の水準について示しているにすぎず,ばらつきの大きさについては知ることができません。 狭い意味での格差は,人々が上・中・下の各層にどんな比率で振り分けられているかという,社会の分布の形を見るものです。 不平等は,理念としての平等がうまく実現していないことを意味します。 ここでは原因と結果,あるいは出発点・途中経過・到達点といった因果関係が扱われます。 さらにその因果関係について,本来ならばこうあるべきだという理想の状態(平等社会の姿)が考えられ,「○○によって△△になるのは不平等だ」というように,二つ以上のものの関係が,望ましい社会状態と照らしあわされて,不平等問題とされるのです。 ですから,不平等とは,格差を発生させる因果的な仕組みを意味するもので,豊かさの程度や分布のばらつき(格差)とは異なる次元の物事だと考えればよいのです。 一般に「格差問題」と言われる場合,そこで扱われている主要で深刻な「問題」は,実はこの不平等の次元のことなのです。 とりわけ社会学では,親子の世代間関係の不平等を重要な論点としてきました。 --------------------------------- これは自身がいつも地域格差を論じようとするときに意識することでもあります。 分布にばらつきがみられる場合に,それを単なる地域差ととらえるべきか,地域格差ととらえるべきかは慎重にならなければなりません。 分布のばらつきを生じさせる要因をしっかり明らかにしたうえで,結果として不平等な状態に置かれているかどうかを見極めなければ,判断ができないということです。 テーマ設定の際にも検証する前から「地域格差」として論じようとする傾向があります。 たしかに対象とする問題群は地域格差問題として語れることが圧倒的に多いのですが。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015.10.31 00:31:06
コメント(0) | コメントを書く
[音楽・テレビ・映画・小説] カテゴリの最新記事
|