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カテゴリ:音楽・テレビ・映画・小説
第三の波の次に来る波について論じています。 一気に切り替わるのではなくて,併存する状況が続くような気もします。 関心をもったのは社会的関係性をめぐる諸科学の展開です。 「個人」あるいは個体というものを単に独立した存在として捉えず,他社との相互作用を含む社会的な関係性の中でとらえたり,あるいは他者との協調行動や共感,利他的行動といったものに焦点を当てるような研究が,近年,文・理を含むさまざまな学問分野で百花繚乱のように生成し発展している。 それはたとえば, 1.健康や病気に影響を及ぼす社会的要因に関する「社会疫学」の分野 2.ソーシャル・ブレイン(社会脳)やいわゆるミラーニューロン(他者の痛みを自己の痛みとして認識するような気候にかかわるニューロン等の研究) 3.人と人との信頼やコミュニティないし関係性の質に関するいわゆるソーシャル・キャピタル(社会関係資本)論 4.人間の利他的行動や協調行動に関する進化生物学的研究 5.経済学と心理学ないし脳研究が結び付いたいわゆる行動経済学ないし神経経済学の一部 6.経済発展との関係を含む,人間の幸福感やその規定要因に関する幸福研究 もともと近代科学(特に経済学)は「独立した個人」が利潤の極大化を追求することを基本にしたモデルでしたが,近縁は個人ないし個体間の関係性や協調行動,利他性に注目するようになっています。 医療や健康をめぐるテーマについても,社会的な要素や側面が重要になるという研究がみられています。 うつなどの精神疾患を含め,慢性疾患等への疾病構造の変化の中で,特定病因論の実では解決が困難な病気がむしろ一般的になっているのが背景にあります。 こうした状況においては,病は神体内部の要因のみならず,ストレスなどの心理的要因,労働時間やコミュニティとのかかわりなど社会的要因,貧困・格差など経済的要因,自然とのかかわりを含む環境的要因など,無数ともいえる要因が複数に絡み合った帰結としての心身の状態として生じるという視点が極めて重要になってくる。 そして実際,近年発展している社会疫学と呼ばれる分野は,健康の社会的決定要因という基本コンセプトに象徴されるように,まさにそうした病気や健康を巡る社会的な要因に注目し,対応や政策のあり方を含む研究や分析を行っている。 --------------------------- 上記の現象が,ある特定の地域に現れるとしたら,その規定要因は何かを追求することが求められます。 貧富の格差は勝ち組と負け組を分けますが,負け組だけが不健康のリスクを高めるだけでなく,勝ち組も常にストレスにさらされるなかで,かえって病気のリスクが高まるという傾向が指摘されています。 こうした問題にいかに対処しうるかに関心があります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016.01.09 09:12:32
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