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カテゴリ:音楽
先日の日記にほんの少し書いた3月27日土曜日夜の「土曜ワイド劇場」、「松本清張の証言」について、別角度から書いてみたい気がしていた。
このドラマ、過去幾度かドラマ化されているはずだが、ここ十年ほどさかのぼる最近作で知る限り、二つ異なった設定のものを見た。 もちろん一つは先日見たほやほやの最新作だが、やや以前のは物語の骨格は共通したところが多くあるものの、登場人物設定・ドラマに活躍する人物設定はだいぶ違う。 何しろ本を読むのが苦手なので原作を知らず、この点評論などというものを書く資格がないので、専らテレビドラマのストーリー構成に言及するしかない。 さて、ここから本文方向転換である。新旧「証言」比較をやろうと思いながらも、最近作をどうしてもくり返し見てしまって、やはりヒロインとも言える水橋貴巳(みずはし・たかみ)さんのまぶしくなるような容貌にひかれっ放しで、「いい娘(こ)だ・・・!!」と見とれながら、この一作のビデオばかり見ているのである。 そのうち、更に新しいことに気づいた。ラストをさわやかに印象づける大きな役割を担っているエンディング・テーマに、いつのまにか魅了されていたのだ。 上から下に流れるタイトルを見ているうちに、まずエンディング・テーマ「もう少し」という字に気がついた。私が平成のおびただしい歌手やグループが歌う歌にひかれたのは、今回が初めてである。 「ポルノナントカ」なぞというふざけた名前をつけたグループのガキ共や、音域の広さを聞こえよがしに歌うがなり歌の歌手ばかりが鼻について、曲そのものには興味をそそるものが全くないと断定して、ずっとそっぽを向いていた。 だから「Kiroro」という何語をアレンジしたのかわからぬグループ名と歌をいきなり聴いただけだったら、この「もう少し」という歌を聞き逃し見逃して終わりだったろう。 最新作言い換えれば「松本清張の証言2004」に採用されたことが、この歌との出会いになったわけだ。 偽証罪により、ややあって青天の娑婆に出てきた男を迎える元教え子の娘が、既に目立つようになった腹を見せながら、にっこり微笑んで出迎える本当のラスト・シーンがとてもさわやかで、このシーンばかり何回も巻き戻して見たが、細かいことを言うと、その一つ前のシーンで、ベンチに腰掛けて萩原健一氏演ずる、らつ腕刑事と娘が話を交わす場面で、「偽証罪だからすぐ出てきます。本当に好きだったら待っててやって下さい」と刑事が言うのに答えて、娘が莞爾(かんじ)として「実は私も先生にウソをついているんです」とぽつり言う。 この娘のカットに変わる瞬間から、実は二人(ににん)グループ「Kiroro」のお二人が歌うテーマのピアノ前奏が流れ始める(片方の人はピアノのようだ)。当たり前なのだろうが、映る場面と音楽のタイミングが周到に計算された画面効果を感じさせる。 やや理屈っぽいことを書くが、このドラマ「証言」には、お互い又は片方がウソをつく三組のカップルが登場している。高校教師夫婦・高校教師と元教え子・殺人に関わる夫婦の三組である。高校教師夫婦は、夫が妻に元教え子との不倫を隠し、妻は一人息子が夫の子でないことを隠している。高校教師は事件の証言に関し、教え子との関係の発覚を恐れてそれを隠し続ける。 真犯人である夫は、女房殺しの罪が他人にかぶせられたのに安堵して、己れの罪を隠し通す。 だが劇中のウソの中で、是非はともかく、最もさわやかで罪のないウソが、元教え子が教師に対し、お腹の子供をおろしたとつくウソである。これがラスト間近で刑事を相手に白状する形で暗示的に現われ、やがてラスト・シーンの、偽証罪を償って出て来た教師を迎える場面で、大きくなったお腹を押さえながら娘が彼を待つという、最大の効果画面を伴って、見る者の視覚にいやおうなく訴えて、なかなか憎い演出である。 さてそこで、このラストをさわやかに歌い上げる「Kiroro」お二方の曲が、平成の流行歌に全く無縁だった私までを魅了することとなった。 そもそも殺人劇に始まるこのドラマで、高校教師がウソの証言をせざるを得なくなった原因が、テーマ曲「もう少し」のタイトルそのまま、教え子の彼女の「もう少しここにいて」とすがる言葉である。これにより無実の一人の男が、殺人犯の汚名を着せられることとなる。 ドラマ「証言」の全体を貫くテーマは何かとひとことに言うなら、それは人がつく「ウソ」である。劇中の様々なウソのドラマが終わったあとで、元教え子の娘がついた最後のウソが、汚泥を清水で洗い流すかのように、さわやかにしめくくって、快い余韻を与えて一巻の終わりとなる。更にエンディング・テーマ「もう少し」がこの余韻を盛り上げて、後味のいい印象を残す。と、私は見た。 「Kiroro」とは相変わらず平成の歌手がつけそうな妙なグループ名だと思って、ネット検索したら驚いた。 私が今更ここで解説することもあるまいが、日記構成の必要上書きたいので、調べたところをまとめる。 二人(ににん)グループのお二方は、沖縄出身の玉城千春(たましろ・ちはる)さんと、金城綾乃(きんじょう・あやの)さんである。無論名字だけで沖縄出身とすぐわかる。 驚いたと書いたのは、グループ名の由来である。 玉城さんが小学生の時、交流のために北海道に旅した時感激したアイヌ語を元に作り上げた名前である。 これに二語あり、「Kiroru」・「Kiroro-an」なのだそうである。「Kiroru」=人間が踏み固めた広い路、「Kiroro-an」=強い・健やか・盛ん・大きい・かたくなとの意だそうだ。 これがグループ名「Kiroro」となった。 沖縄・アイヌ共、大和民族によって駆逐された歴史を持つ。その南北両極端の南の民族の末裔の一人の娘さんが、北のアイヌの言葉に感銘して命名したというのは、ドラマ「証言」の余韻に浸っていた私にいささか感動を伴って迫った。 しばらくのあいだ、リアルプレーヤーで時々聴いて、高らかに歌い上げるさわやかな曲「もう少し」を味わっていた。 松本清張の「証言」は、掘り出し物であると以前書いたが、この「もう少し」も又、大いなる掘り出し物だった。そして今CDシングルを買って来たところである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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作品への感想、有難うございました。とても励みになり、また作る気力がわきました。
kiroroですか。とっても澄んだ声でいい歌を歌いますよね。デビュー曲?の「長いあいだ」を初めて聴いたときには感動を覚えました。 最近の曲は聴いていませんが、今度「もう少し」という曲、是非聴いてみたいと思います。 (2004.04.01 17:28:19) |
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