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カテゴリ:雑記・会話
以下、rainbowmask2殿へ1月13日夜、至急送信した殴り書きのメール文面である。
忙中かつはあるいは食事中かも知れぬにもかかわらず、尾籠なる話をつづりお送りする無礼を容赦されたい。 父がつぶさに見てかつ扱ったこととて、仔細を聞いておらず、今は簡単にしか書けないが、母が今夜も偶然、自力でベッドを離れて歩き、トイレに向かった。 この母の行動、少し前の時は多分這って行ったか、あるいはいざって行ったと思われる。 だが今回は――わざとふざけて原始人のように書くと、『二足歩行』したのはまず間違いない。洗面所にいた父が気づいた時は、母はトイレにたどり着いていた。そしてあとから母を部屋に帰した私も二足歩行を目の当たりしている。 私は寝たきりの母の姿に慣れ過ぎていたようだ。六年前母と二人で琵琶湖までの日帰りドライブをしたにもかかわらず、母は歩行困難との印象が当然のようになっていた。 ここからいよいよ尾籠なる話、失礼の段は重ねてお許しいただきたい。 母は最近始めた、デイ・サービスでの訓練の成果か、尿意を覚えてトイレに向かったとのことだが、父が介助するうち便意も催したので、父が促し励まして、結果母は大小便首尾よく済ませた由(よし)。その少し前7時半過ぎ、尋常の階下の音でないと気づいた私が降りると、トイレの戸がしまるところだった。 こういう時、私は手伝うべきか否か未だ迷うが、ともかく父に任せて、両親の寝室で待っていた。塾の時間が8時と迫っていた。 母の用便は無論健康人が済ますようにはゆかない。 そこは父が手伝ったはずだが、トイレから出て来た父が、寝室に来て手伝ってくれと言ったので、初めて私はいつものように下(しも)の世話をすることにし、寝室を出たが、父は洗面所へ姿を消していた。この時母は「お茶の間に行く」と言って、かつての部屋へ落ち着きたがったが、私がなだめて寝室へ連れて行った。 この時の私のストレス無し。母は私に手をつながれるだけで、ほぼ自力で部屋まで歩いた。 母のここまでの回復を、昨年11月ごろ、デイ・サービスの所長を務めているケアマネの婦人がまるで予言の如く告げた時は、ほとんどあてにしていなかった。 第一、母が立って歩く姿さえ、もはや見られぬと確信していた。 昔から『論より証拠』『百聞は一見にしかず』『目の当たり見る』などと言うが、二本足で立って背筋を伸ばした母の、この世代にしてはやや上背のある姿を目の前で見ても、信じられぬというより実感がわかなかった。 昨年8月29日、何んとか介助されて医院に向かう車に乗ったのが最後で、以来、母の姿のほとんどは文字通り寝たきりだった。せいぜいベッドに上体を起こす程度だった。 ただし、目下の回復ぶりを手放しで喜び、前途の明るい生活を待望するなどという楽観は一切していない。再三起こる母の回復の姿も、無事なうちは良いが、一歩間違えば転倒などして、今度こそ回復の見込み無しとなるおそれは充分ある。 何度も書いたように、今母に忍耐してもらっていることには『目標』がない。 年齢からみても、母は残る人生を勢いで生きているに過ぎない。 それでも昨年残暑の頃の脱水症状などで病み衰えた姿を見るに忍びなかったのは常識どころか、本心は当然ながらもう一度食欲回復させて上げたかったし、さらにかなうならば、再び自分の意志と力で歩いてもらいたかった。 仮に母が元気だとしても、せいぜい日課に近かった落ち葉拾いをやる程度だろう。そう考えると、残る人生を漫然と生きることに何を悩むことがあろうか。 いずれ衰えが再び来る。今度こそ死への衰えである。骨粗しょう症も認知症も改善はされても進んでゆくことだろう。 それまでのあいだ、ある程度元気に生活してくれれば、その上何望むことなどあろうか。 もっとも、母があるレベル以上回復した時は、三人水入らずで温泉旅行する計画を父が立てている。 実現のめどが立った暁には、私が一点豪華主義のぜいたくな宿泊を提案するつもりだ。 すなわち離れ座敷を、家族だけが心置きなく入れる露天風呂つきの部屋を借りる予定である。 これとて、仮に三人元気だとしたら、かえって実現しなくなっていた旅行である。 母に存分に温泉につかってもらう。これを私の最後の目標にしたい。 失礼ついでにしばらくあとで電話をかける。様子など話していただき、雑談のきっかけに出来ればありがたいと思っている。 忙しい時に失礼致しました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.01.14 05:49:43
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