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2008年05月25日
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カテゴリ:クラシック
 狛江エコルマホール  14:00~

 シューベルト:即興曲集 op.90 D.899
        さすらい人幻想曲 op.15 D.760
        12のウィーン舞曲
        ピアノソナタ第21番 D.960
 <アンコール>
 シューベルト:即興曲 op142-3 D.935-3
        楽興の時 op.94-3/1(?) D.780-3/1(?)

 今日は、フォルクス・オーパーのこうもりという手もあったのだけど、既にS席・A席しか残ってないのでは、流石に行く気がしません。
 さてどうしようか.....と考えて、結局、ここに行ったのは、比較的家に近いので。それと、イェルク・デームスをもう一度聞いてみるのもいいかなと思って。何より、今回はオール・シューベルト・プログラム、しかもピアノ・ソナタの21番も入っているので、行ってもいいなと。

 かつてのウィーン三羽烏の一人(しかしなんで三羽烏なんだろう?)、イェルク・デームス。後の二人は、パウル・バドゥラ=スコダと、アルフレート・ブレンデル。御歳80のご老体ですが、未だ矍鑠としておられます。ブレンデルは今年で引退だし、もうこの辺が限界かなと。

 前回は一昨年に聞きました。その後も来日していたようですが、タイミング等々合わず、行っていません。一昨年の時は、確かに良かったけれど、技術的にはちょっと難しい感じでした。今回も、あまり期待しないでおこう、というところ。

 技術面では両方向に予想以上、でした。全体的には、かなりしっかりした演奏で、技術的な不満は基本的にはあまりありませんでした。ミスタッチや記憶違いでは、と思われる所もあったけれど、どのような音楽をやりたいか、このフレーズをこう処理するのか、といったところがはっきりしていて、音楽的に分かりやすかったし、面白かった。
 けれど、演奏としてはかなり自由に弾いている面もあって、テンポやアコーギグなどをかなり意識的に変えて弾いていたりする。これは諸刃の剣で、多用するのは頂けません。例えば、ABAの三部形式の曲で、AとBとでテンポを大きく変えたりするのだって、場合によっては統一感が崩れて問題になるのに、フレーズの変わり目でテンポが変わったりしてしまうのは、結構危なっかしい。
 特に、前半2曲目の「さすらい人幻想曲」は技術的にもかなり厳しかった。テンポはかなり揺れるし、単なるミスタッチ以上に、崩して弾き飛ばしてしまう、まぁ端的に言えば「ごまかしている」ようにしか聞こえない部分もあって、ちょっと苦しいなぁ、と。これでコンクール持ってったら、まず一次予選で落選でしょう。
 でも、音楽としては不思議なことに「ちゃんとしてる」のですよね。そんなんでちゃんとしてるってどういうことだ、と自分でも思うのだけど、どう歌っている/歌いたいのか、フレーズがちゃんと分かるし、それはそれで一応納得が行く内容なのです。

 とはいえ、さすがに前半終わった時点ではどうなっちゃうんだろう、という感じでしたがね。
 後半の舞曲集から、なかなか安定した演奏を聞かせてくれました。そして、大曲、D.960。第1楽章から繰り返しありで、かつかなりのテンポで弾いて行きます。Molto Moderato の速度記号からすれば、「これが中庸なんだ」と言えば、それまでですが。でも、飛ばしているという感じではない。要所で、例のデームス一流のギアチェンジが入るので、不自然にはなりません。

 結局、月並な話ですが、技術に限界があっても、元々内在している音楽に確としたものがあって、それを揺るぎなく持っているから、音楽として危なっかしく見えても最終的にはまとまりがつくのでしょう。勿論、その内在する音楽も、基本的な所で王道を歩んでいるということもあるからなのでしょうが。

 でも、まぁ、流石に絶賛する気にはならないか(苦笑)たまたま聞く機会があれば聞いて損は無いけど、万難排するほどのことは、ってとこかな?








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最終更新日  2008年05月26日 00時11分43秒
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