|
テーマ:今日行ったコンサート(1209)
カテゴリ:クラシック
サントリーホール 19:00〜
ピット席 イーゴリ・ロボダ:レクイエム(果てしない苦難にあるウクライナに捧げる) ヴァレンティン・シルヴェストロフ:セレナード ミエチスワフ・ヴァインベルク:ヴァイオリン・ソナタ第5番 シューマン:子供の情景 〜 見知らぬ国 J.S.バッハ:イギリス組曲第3番 〜 ガヴォット D.スカルラッティ:ソナタニ短調 K.141 ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲ホ短調 op.67 <アンコール> シューベルト:君は我が憩い ロボダ:タンゴ「カルメン」 ピアノ:マルタ・アルゲリッチ ヴァイオリン:ギドン・クレーメル チェロ:ギードレ・ディルヴァナウスカイテ アルゲリッチが来るぞ、というのを聞いたのはGW明け頃。丁度前売りを始めるぞと聞いたので、なんとか取りました。このところはコロナ明けでいろいろ状況が動いていて、こんな話も突然来る。まぁ、ある意味これくらいでいいのかも知れないなと思わなくもないですが。1年前からチケット買っておくとか、どんな博打だという気もするし。今手元にはコロナ始め頃に買ってついに3回目の延期が決まって何がどうなるのか見当もつかないチケットもあるくらいですから..... アルゲリッチはLFJで聞いて以来なので、もう何年聞いていないんだろう。別府にでも行けばもうちょっと聞けもしたのだろうけれども、そこまでの元気はなく、気がつけば高いチケットが残ってるだけというパターンですしね、毎々。今回はクレーメルとの演奏会で、その割にはまだしも安めのピット席が買えたので久々に聴きに行ったわけです。というかそんな調子なので、何演奏するのかは知らず仕舞い。最近のアルゲリッチのことだから、どうせソロでは弾かないだろうと思ってるし。 クレーメルは、多分もっと聞いていないと思います。随分前に、確か、オペラシティでリサイタルがあったような。バッハの無伴奏弾いてたかなぁと。 1ヶ月前に売り出しての割には、というよりはむしろ5月以降コロナも落ち着いているように見えるからか、殆ど満席。ピット席から見ていると、一階の前の方に2席空きがあるぞ、くらいに目立つほど。こういう公演だとプログラムを売り出しそうなものですが、そこまで準備が整わなかったのか、いい装丁ではあるけれどA5サイズ8ページの簡単な冊子が配布。 前半は、まずクレーメルの独奏で、ジョージア出身のロボダによる「レクイエム」、続いてウクライナ出身のシルヴェストロフによる「セレナード」。ロボダの曲は、2014年のロシアによるウクライナ東部とクリミア半島への侵略を受けて作曲されたものだそうで。その後にアルゲリッチを迎えてのヴァインベルクのヴァイオリン・ソナタ。ヴァインベルクは、最近クレーメルは盛んに取り上げているようですが、モルドバ出身のユダヤ人の血筋だそうで、自身はポーランドに生まれ、第二次大戦でソ連側に逃げて、そこでもそこそこ迫害を受けたり、という身の上。まぁ、政治的なプログラム、と言っていいのでしょうか。それがいいとか悪いとかいうことではないのですけれども。 正直、前半の独奏曲はなんとも。ロボダの曲はなるほど沈痛な曲ではあったし、そういうものだとは思うけれど、だからどうだと言われても.....まぁ、よくわからなかった、ということなのだと思います。ヴァインベルクのソナタは、結構な大曲ですが、20世紀中葉の作としてはそれほどモダニズムではない。ショスタコーヴィチに一脈通ずるものはあるけれど、それほど諧謔に満ちたものではない、むしろより内省的な音楽。これまであまり聞いていない人なのだけれど、こういう人もいるのだなと。まだまだ勉強が必要です。 後半はアルゲリッチの独奏から。プログラムにも曲目未定で、当日も発表はなく。その場で決めるスタイルなのでしょう。出て来るなり弾き始めたのは、シューマンの「子供の情景」の第一曲。なるほどー、子供の情景かぁ.....と聞いていたら、一曲目だけで別の曲。あれ?これなんだっけ?バッハだっけな?なんかの組曲の中の一つ?と思う間もなく、更に別の曲へ。で、おしまい。 うーーーーむ。まぁ、ねぇ。昨今アルゲリッチはあまりソロで弾かないし、ちょっと弾いただけでもめっけもんといえばめっけもんではあるというものだろうけれど、これは......いい演奏ではありましたけれどもね。これでどうこうというのは、まぁ、ないかな。 最後は、クレメラータ・バルティカのチェロ首席というディルヴァナウスカイテとのショスタコーヴィチのピアノ三重奏第2番。まぁ、ショスタコーヴィチらしい曲。皮肉に満ちた諧謔と嘆きというか叫びというか。ショスタコーヴィチの「悲愴」みたいなところもあり。ただ、まぁ、やっぱり、私それほどショスタコーヴィチは好きではないんですよね。身振り手振りが大きいというか。なんというか、「信用出来ない」感があるのですよね。まぁ、特に、ヴァインベルクのより内省的な音楽を聞いた後では、ちょっとね。ショスタコーヴィチ自身はヴァインベルクを助けたりしていたそうなので、そう言っちゃぁ申し訳ないんでしょうけれども。 このプログラムの中で言うと、やっぱりヴァインベルクだったかなぁ。演奏はどれも良かったとは思いますが、この中ではやはり一番感銘を受けたというか、音楽として一番残ったというか。 アンコール。まずは、この日6/5はアルゲリッチの誕生日ということで、まずはクレーメルとディルヴァナウスカイテとの二重奏でハッピーバースデーを演奏。何故か短調に転ずるクレーメル。 の後に2曲。一曲目のDu bist die Ruhe、君は我が憩い。編曲は誰か分かりませんが、ほぼ原曲通り。ヴァイオリンとチェロで歌唱部を担当し、伴奏部は勿論アルゲリッチ。このアルゲリッチの伴奏が物凄く。とにかくゆっくり弾きたいクレーメルと、歌いたくてより速いテンポに向かおうとするディルヴァナウスカイテ、しかしどちらも普通に歌うよりは余程ゆっくりなのだけれど、その揺れ動くテンポに追随しつつ、見事に歌うアルゲリッチのピアノ。というよりアルゲリッチのシューベルト!こういうDu bist die Ruheの伴奏はちょっと聞いた覚えがないです。正直、今日一番の演奏だったと思います。 いい演奏会でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022年06月09日 00時57分28秒
コメント(0) | コメントを書く
[クラシック] カテゴリの最新記事
|