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テーマ:今日行ったコンサート(1138)
カテゴリ:オペラ
新国立劇場 14:00〜
3階右側 タンホイザー:ステファン・グールド ヴェーヌス:エグレ・シドラウスカイテ ヴォルフラム:デイヴィッド・スタウト エリーザベト:サビーナ・ツヴィラク 牧童:前川依子 領主ヘルマン:妻屋秀和 東京シティ・バレエ団 新国立劇場合唱団 東京交響楽団 指揮:アレホ・ペレス 演出:ハンス=ペーター・レーマン 年が変わって初エントリーです。サボってました...... そこそこ聞きにはいっているので、各ネタは沢山あるんですけれどもね。どうも書く気になれなかったりなんたりで。まぁ、ボツボツ書いていきます。というか、まぁ、こういう時また書き始めるのは、よっぽど良かった時か、よっぽど悪かった時かで......まぁ、後者なんですけれどもね。 新国のタンホイザー、2007年初演の演出で、2019年にもやってました。前回が3度目だったらしいので、これで4回目。 昔から色々言ってますけれども、基本的にこの演出それ自体はそれほど悪くはないと思っています。瞠目するほどのことでもないけれど、なんというか、無難といえば無難、読み替えるでもなく、ほどほどにお金の掛からない舞台だけれど、それ自体格別文句を言うほどでもなかろう、といったところであろうかと。 ただ、それだけに、再演するにはそれなりに詰めてやって欲しいわけですね。まぁ言ってしまえば、その辺が甘過ぎるなと。 まず、オーケストラ。東響ですが、これが無惨。外形的にはちゃんとやってますよ?ただ、まず、ちゃんと弾き切らない。音が消えてしまう。3階の横の席ですから、バランスは悪いですが、オケが聞こえない席ではない。鳴らし切らないから、実に平版なのですね。あんなに眠たいタンホイザー序曲というのも珍しい。そんな調子で全編続きますのでね。 今回の指揮者はザルツブルクでも振ってるような人らしいですが、正直言うと、自主性も音楽性も乏しい日本のオケは難しかったんじゃないでしょうかね。それともこれがいいと思っているのか...... 歌唱陣。これはまぁアサインした時点である程度決まってしまうのではありますが、外題役が今回は少々グダグダ。まるでダメなわけではないし、まぁ、地力のある人ではあるから、それなりではあるのだけれど、ここ一番で伸びてこない。あとは、エリーザベトも言うほどではなし。ヴェーヌスは悪くはないけれど刮目するほどというわけでは。ヴォルフラムは、正直、ここは頑張って欲しい役なのだけれども、これももう一つ。夕星の歌はまぁ歌ってましたが、まぁ歌えますねという感じで、それ以上のものでは。 日本人勢は、男声は結局端役だけなのだけれど、これがまた無惨。ヘルマンはまぁ一応形になってますが、そろそろ他の人が聞きたいよね、とは思います。が、それ以上に、他があまりに酷い。率直に言って、こう言う箱の舞台に出て来てはいけないレベルの人もあり。これ皆二期会勢ですが、まぁ、二期会ならこれで通用するのかも知れないけれども、こういう曲がりなりにもプロが出て来るような舞台に出て来られては困ります。 女声は、こちらも端役とはいえ、それに比べれば、まだしも。まぁ、牧童が良かったから、で救われるというものでもないのだけれどもね。 合唱は、これは、以前も、って10 年前にも書いていましたが、第3幕の処理があまりにも弱い。加えて、今回聞いていて、「ハレルヤ」の発音がどうにも「アレルヤ」に聞こえる。つまりHが落ちてる。フランス人か。いやまぁそれは冗談としても、やっぱり、合唱がダメなんですよね。全然なんのつもりで歌ってるのか、ピンとこない。これは10年前と変わりません。解釈?でも、楽譜には(少なくともドレスデン版には)ここはffって書いてあるのですし、何よりハレルヤ!という言葉の意味を考えると、これはあり得ない....というのは散々リンク先に書いているので割愛。加えて今回は幕切もいけてないし。 演出。これが問題。原演出は書いた通りそれほど悪いとは思っていないのですが、細かいところでいわゆる再演演出に問題が多い。これは合唱にも通ずると思うのですが.... 一言で言うと、詰めが甘い。本当に細かいところなんですけれどもね。 たとえば2幕の歌合戦の場。領主と令嬢エリザベートの前に来場者が入場してきて挨拶をする。この来場者の入場が、バラバラなのです。10人ばかりがまとまって列を成して二人の前に来て礼をする。その入場の際のルートが、まとまりによって微妙に違うのです。いや、こんなの、たまたま丁度見える位置にいたから気づくようなことではあるのですが、でも、気づいてしまうのですよ。この演出、この場面での来場者はそこそこ武張った感じの衣装でもあり、シンメトリックな見掛けでもあるので、あまりだらしない感じではその効果が削がれてしまうのですけれどもね。 もう一つは、3幕の巡礼の合唱。合唱自体の問題もあるのだけれど、その巡礼が、まぁ、登場時はまだいいとしても、去っていく時もあまりにもあっさりとするすると退場してしまうのですよ。でもさぁ、この人達、長旅で疲れてるんでしょう?で、懐かしい地に帰って来て、その喜びを歌っていたのでしょう?それがまぁこんなにあっさり捌けるのでいいの?しかも、音楽的には、もうちょっとゆっくり出て行っても差し支えないと思うのですよ。 幕切。これは、巡礼はまぁ、しょうがない。ただ、ここには、巡礼と領主しか出て来ない。そして、この演出ではエリーザベトの棺は出て来ない。まぁ、そこまでは仕方ないかも知れない。ただ、ここには、その結果、歌合戦の場に居た貴顕の皆様も出て来ない。そこは合唱が巡礼も兼ねてるから仕方ないとしても、歌合戦の歌手達も出て来ない。そればかりか、ヴォルフラムが、幕切前に捌けてしまう。いや、いいよ?捌けても。でもさぁ、じゃぁ、その前ローマ語りでタンホイザーに示した同情はなんだったの? 細かい話ですよ。ただ、色々細部にわたって、え?と思う部分が出てしまう。多分相乗効果なんです。綻びが見えてしまうと次々見えてしまう。 なんかねぇ、それなりに拍手は出てましたよ?でもさぁ、その割にはカーテンコール割とあっさりと終わったのは、皆さんもそれなりにサクッと出て来てしまう感じだったのではないですかねぇ。もう一歩踏み込んで誉めたくなる何かが足りなかったのではないかと勝手に思っているのですけれども。 こういう時に限ってもう一度行く予定になってしまっているのですよ。困ったものです。良くなってくれないものかねぇ..... お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年01月29日 22時28分06秒
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