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2007.05.11
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カテゴリ:音楽音楽music!
 朝はバッハがいいと長いあいだ思っていた。長いあいだというのは高校生のころからの40数年間ということだ。
 それが、変わった。

 朝はシューベルトがいい。
 ことに『ヴァイオリンとピアノのための二重奏曲(ソナタ)イ長調 D.574,Op.162』がいい。
 1817年の作品だ。最初にピアノが低く聞こえ、ヴァイオリンがゆったりと入ってくる。
 ほんの数秒後、ヴァイオリンのテンポがやや早くなるときにはすでに空気がふわりと動いている。
 何をしていてもしばし立ち止まり、ふり返り、いまが朝だなと思い、ふたたび音楽に耳をかたむける。
 もういけない、ヴァイオリンとピアノが語りかける物語に吸い込まれるばかり。
 物語の背景は草原と森と、青空と微風。
 5月の香り。

 そういう中で、じつは、きょうが締め切りという仕事を懸命に進めようとするのだがどうにもうまく運ばない。やむを得ず音楽に聴き入ることになる。190年も前にシューベルトが作曲したヴァイオリン・ソナタは気品に満ち、細やかで、しかし奥のほうでは逸る気持ちがのたうちまわるのだ。
 楽想全体はそうした激しさを抑えにかかり、したがって妙にせつなく、要するにこの曲は、情感入り乱れる人の心の煩悶をぐっと抑制された硬質なイメージに仕立て上げているらしい。
 で、表面上は5月のさわやかさとくるのだからかなわない。

 抗しがたい魅力を受けきるにはよほどつよく美しい気配が必要で、だからやっぱり朝がいい。





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最終更新日  2007.05.11 11:45:56
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