カテゴリ:朝の朝
こういうそらを朝の6時半に見るのは久しぶりだ。 バスが角を曲がると雲を通して強い日の光が差してきた。 間もなく春の彼岸だものなぁ、太陽の位置が上がっているのも当たり前だ。 井の頭線から見る朝の光景が冬の終わりを告げている。 ぼくはそれを斜光の案配から感じるのだが、そうでなくとも家々の屋根に当たる陽射しは明らかにやわらかく、冬の白っぽさが消えている。 環八沿いの歩道をゆるゆる歩いていると、右うしろから「おはようございます」の声。 振り返りながら「おはようございます」と返す。 思った通り青戸さんだった。 が、いい天気なのに自転車じゃないのはどうしてだろう。 「あれっ、きょうは?」 「今夜は飲み会があるんで」と、にこにこしている。 「そりゃいいこと!」 ぼくを追い越し、すたすた歩いて行く姿が見る間に遠ざかる。 と、ふいに消えた。 人見街道の信号あたりだから、そうか、コンビニに入ったんだ。 その場所にぼくがたどり着くのはおよそ3分後。 ちょうど店頭に並ぶゴミ箱に棄てるものがあったのでちらと中を見るとやはりいた。 ふたたびゆるゆると歩きだし、環八の渋滞ぶりを眺めていると「またお会いしましたね」と声がかかった。 「ふいに消えたからあの店だなと思ってました」と答え、きびきびした早足で遠ざかるようすを見ていた。 それからおよそ10分後、いつものように「寄り道オフィス」に寄る。 高城さんがいて朝の挨拶を交わす。 青戸さんは「3度目ですね」と笑っている。 高城さんに「きのういなかったろ、休んだの?」と聞くと「うん、有休とった」と答え、つづけて「あしたも休むんだよ」という。 「え! ぼくもだよ」 デイトなのかなぁ、そうかも、などと冗談をいい合ったあとであしたの欠勤者が数人を数えることを知る。 青戸さんに「あしたは何をするんですか?」と聞かれ、ぼくは思わず顔をほころばせたにちがいない。 あしたは長谷川等伯展に行くのだ。 なにしろ先週、あれこれ考えてやっと決めた予定とあって、じつはうれしくてしょうがないのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.03.20 17:58:39
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