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カテゴリ:有川浩作品
『ヒア・カムズ・ザ・サン』
有川浩/著[新潮社刊] 【送料無料】ヒア・カムズ・ザ・サン 本ブログ勝手に推奨作家、有川浩さんの新刊です。 この作品は、ほんの7行しかなかった舞台作品のあらすじを元に、一人の役者さんの希望に応える形で書かれた作品だそうです。 残念ながら、僕は舞台版を観ていないので、小説版と比較して楽しむことはできませんが、小説版だけでも、充分楽しめる作品だと思いました。 主人公は、特殊な能力を持った、雑誌の編集者。 雑誌の編集者なんて言ったら、僕ら一般人からしてみれば、それだけで特殊な能力を持っているようなものですがw主人公の真也は、人知を超えた能力を持っています。 サイコメトリー。 モノに触れることで、そこに残された人間の残留思念を垣間見ることが出来る。 そして、同僚の父であり、アメリカで活躍している脚本家に会うところから、話は始まる。 この作品を読んでいて感じたのは、作者である有川さんの好奇心の貪欲さ。 作者として、編集者に関わることは多いだろうし、有川作品がTVドラマやアニメ化、映画化されたことで、それらのスタッフや脚本家と会うこともあっただろう。 もちろん、同業者の小説家と接触することも多々あるだろう。 それを、しっかり作品に活かしているよね。 脚本家にしても、小説家にしても、創作物にはその人の「想い」が乗っかってくる。 その「想い」を全く知らない人に伝えようと言うんだから、そのエネルギーは相当なものであろう。 役者にしても、そうだ。 脚本家や監督の「想い」を受け取り、それを表現して伝える。 共感させ、あるいは反発させ、時には思いも寄らない視点から見せることで、受け手の心に刻みつける。 それが、表現者たる彼らの仕事だ。 そんな人間を、間近で見てきたわけですよ。 当然人間ですから、同じ小説家でも作品へのアプローチは違います。 小説家と脚本家ならなおさら。 役者ともなれば、全く別の方向からのアプローチになるんでしょう。 編集者は、作者の一番近い場所にいながら、最も遠い位置から作品を俯瞰することで、それを受け手に届けるのに適した形へと完成させていく。 そんな、様々な人々のアプローチする方向や、立ち位置、そして何より、そこに込められた強い「想い」を有川浩は見逃さない。 きっと、この作品の登場人物の中には、作者が見てきた人々の「想いの断片」が散りばめられているのではないだろうか? 「ほんの7行のあらすじ」 そこから物語を書けと言われても、自分が作ったあらすじでなければ、そうそう書けるものではないだろう。 主人公はどんな人? 同僚のカオルは男?女?? 父親は映画に関わっているというけど、具体的には何を担当してるの? 最低限の情報を、知りたくなるものだ。 しかし有川浩は、そうではないのだと思う。 「ほんの7行のあらすじ」 それが、心に引っかかるものであれば、おそらく充分なのだ。 サイコメトラー編集者・真也は、たちまち猫好きの、ちょっと控えめで編集部でもブレーキ役の男として歩き出すし、カオルは「どうせ・・・」とつぶやきながらも、愚直に一生懸命、筋の良い直球を放り始めることだろう。 有川浩は、きっとそんな小説家である・・・・・・と、僕は勝手に思っているw 今回読んだのは、あらすじのみを元に書いた小説版「ヒア・カムズ・ザ・サン」である。 そして、この本にはキャラメルボックスで上演された舞台を観て着想を新たにしたという、「ヒア・カムズ・ザ・サン Parallel」が収録されている。 そちらは果たして、どんなアプローチをしてあるのだろうか? 楽しみに読みたいと思う。 個人的「有川浩作品」感想一覧 航空機写真を中心とした個人サイトです(^.^) 是非一度、お立ち寄りください。<(_ _)> 宇宙開発関連の写真や、アラスカ旅行記もあります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011/12/25 08:55:25 PM
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