I Loves You, Porgy 愛するポーギー
『I Loves You, Porgy』(アイ・ラヴズ・ユー、ポーギー)愛するポーギージョージ・ガーシュウィンが1935年に書いたフォーク・オペラ「ポーギーとベス」の中の曲です。作詞は兄のアイラ・ガーシュウィンと、原作の小説「ポーギー」の作者のデュボース・ヘイワードです。デュボース・ヘイワードは南部の名門の家柄の出で、大変なインテリだったようです。作家としても、この小説を発表したときは、すでに有名でした。この小説「ポーギー」の主人公のポーギーは、彼がチャールストンでよく知っていた実在の人物をモデルにして書いたもので、その人物の名はサミュエル・スモールズと言い、真っ黒な黒人で、足もポーギーと同じように悪く、小さな箱に車輪をつけてそれに乗り、ヤギ(ゴウトgoat)に引かせて街中を動き回っていたので、みんなから「ゴウト・サミー」と呼ばれていたそうです。サミーは、自分の異様な姿を見て、通行人がいくらかの小銭をほうり投げるのを待ちながら、宇宙の彼方を茫然と見つめる癖があったと言います。サミーは前科があり、そのほとんどは女性に暴行したり強姦したりしたものらしく、そんなことを繰り返しているうちに、チャールストンの沿岸の孤島で水死体になって発見されたそうです。ヘイワードは子供の頃、小児麻痺にかかって少しびっこをひいていたらしく、そんなところからもサミーへと興味を示し、ポーギーという物語の人物を作りあげていったようです。このオペラ「ポーギーとベス」の中の曲では「サマータイム(Summertime)」、「マイ・マンズ・ゴーン・ナウ(My Man's Gone Now)」、「イット・エイント・ネセサラリー・ソー(It Ain't Necessarily So)」などが有名で、これらは多くの歌手によって歌われていましたが、この 「アイ・ラヴズ・ユー、ポーギー( I Loves You, Porgy)」も多くのジャズ・プレイヤーに取り上げられている曲です。この曲の題名は「I Loves You, Porgy」がオリジナルですが、これは非文法的なので、「I Love You, Porgy」になっていたり、ただ単に「Porgy」となっているものもあります。劇中では、ベスとポーギーのデュエットで、「ポーギー、あなたを愛しているわ。だから私を守ってちょうだい」と歌うバラードです。この歌は、もともとベスとポーギーがかけ合いで歌うようになっているので、スタンダード・ナンバーとして一つの曲として女性歌手が一人で歌う場合は、歌う人の解釈でベスの部分を取り出し、構成して歌っていて、それはそれぞれの歌手によって違っているため、決まった構成の形は特にありません。*****●アイ・ラヴズ・ユー、ポーギーI Loves You, Porgy邦題:愛するポーギー作詞:アイラ・ガーシュウィン デュボース・ヘイワード作曲:ジョージ・ガーシュウィン1935年《ベス》私はここにいたいけれど、その資格はなさそうねあなたみたいなお上品な人には、私のことなんかわからないでしょあいつの熱い手でしっかり抱きしめられると催眠術にかかったようにあの人の言いなりになってしまうのよ《ベス》いつかきっとあいつはわたしを連れ戻しにくるわそして私を、もてあそぶのよわかっているの、それは死ぬほどつらいことだってでも、あいつが呼びに来たら、私はついて行かないわけにはいかないのよ《ポーギー》もし、クラウンがいなかったら、ベスもし、おまえとポ-ギーだけだったらどうするんだい?《ベス》ポーギー、あなたを愛しているのよ、だから私をあいつに渡さないであいつにもてあそばれて気が狂いそうになるまで、私を放っておかないであなたが私を守ってくれるなら、いつまでもここにいたいのよあなたと一緒なら、いつまでもここにいたいのよ《ポーギー》そうだベス、もう何も怖がることはない!おまえはここで幸せに出会い、悩みはみんな捨てたんだ気ままに豪勢な暮らしをしてやるのさ街中のどの女よりも晴れ晴れとした顔をしてなそれで、いいか、クラウンが来たらすべて俺に任せるんだ《ベス》ポーギー、あなたを愛しているわ、私をあいつに渡さないで《ポーギー》いったい何のために俺がここにいると思ってるだあの飢えた狼みたいなやつに、おまえを渡すわけがないだろう?《ベス》あの熱い手を私にさわらせないようにしてちょうだい《ポーギー》もし、ポーギーと一緒にいたいのならここにいるんだそう、もう家も愛も手に入れたのさ《ベス》あなたが私をここに置いてくれるのなら、ここにいたいわ《ポーギー》そう、だからもう泣くんじゃないよ、わかったかい?そして歌いながら仕事をするんだ《ベス》いつまでも、あなたと一緒に《ポーギー》こうしてポーギーはおまえのものになったんだから《ベス》私はいい人がいるのね《ポーギー》そうさ、おまえのいい人が付いているさ《ベス》あなたを愛しているわ