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晩秋から初冬の時季に、ぱらぱらと通り雨のように降る雨は「時雨」と言われる。 またこの時期に出る虹は、俳句の季語で「時雨虹」と言われ冬の季語とされている。 虹といえば夏ということで「夏の虹」という成句はあまり聞かないが、「冬の虹」は俳句に詠まれたりして成句として成立している。 「虹」は夕立の後に出ることが多いので、俳句では夏の季語とされている。冬に出る虹は、夏の虹にくらべて物淋しい。 冬季にはあまり虹を見る機会が無いが、冬の虹は時雨の空に半円を描いて立ち上がったりする。 虹は雨上がりで空気中に十分な水分があり陽射しが強く、しかもい太陽の位置があまり高くないなどの条件が揃えば夏に限らずいつでも発生する。 夏と異なり冬の場合戸外での活動が少なくなる分、空を見上げる機会も減ることから実際には虹が掛っていても見逃してしまうことも多いのだろう。 11月22日からは、「虹蔵不見(にじかくれてみえず)」。曇り空が多く日差しも弱くなるので、虹を見ることが少なくなる時期とされている。 春夏秋冬の4つの季節を、それぞれ6つに分けた24の期間を「二十四節気」といっている。 これをさらに初候・次候・末候の5日ずつにわけて、気象の動きや動植物の変化を表したのが七十二候である。 七十二候は気象の動きや動植物の変化を知らせるものとして、古代中国で考案された。 二十四節気で「小雪」に当たる11月22日から二週間程は、虹蔵不見(にじかくれてみえず)・天気上騰地気下降(てんちじょうとうしちかこうす)・閉塞而成冬(へいそくしてふゆをなす)といわれる三つの候に分かれる。 虹蔵不見が示しているように冬に向かうと曇り空が多く日差しも弱くなるので、虹を見ることが少なくなる時期とされている。 初冬のこの時期には、雨が雪に変わることも虹が見えなくなる大きな理由の一つである。 12月22日は日本海で発達した960hpaの低気圧に向かって、20℃を超える南の風が吹き込んで時ならぬ嵐となった。 翌日早朝山荘の冬囲いに向かったのだが、前夜からの高温状態が続きしかも湿度が高かったこともあって20号線甲府バイパスは信号の色が殆ど判別できないほどの濃霧に覆われた。 竜王を通過する頃漸く霧は薄れたが、雪に覆われているであろう南アルプスは強風に湧きおこる雪雲で麓まですっかり覆われて見えなかった。 韮崎に入って甲斐駒と中山の間から柳沢の集落方面が見通せる場所まで来た時、まさに「冬の虹」を見つけた。 虹の脚は位置的に山荘辺りに思えたのだが、車が進むに連れて虹も次第に奥えと逃げて行くように見えた。 車の通行があって路肩に駐車できなかったので、10分ほど走って漸く駐車場所を見つけてカメラを向けたのだが色は最初見たときよりかなり薄く褪せてしまっていた。 頭上は青空なのに甲斐駒に掛った雪雲が甲州名物の強風で東方向に流され、昨夜の名残で外気温8℃と高温のため大粒な雨となって時雨のように横殴りに吹き付けていた。 強風とこの時期には珍しい高温の朝という条件が整って飛ばされた雪が雨となり、早朝の虹の出現となったものであろう。 虹を見るのは夏の季節が多いとの印象だが冬の虹は珍しいこともあって、より一層美しく得したように感じる。 「時雨虹」をじっくり鑑賞でき、一日得した気分であった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019年10月20日 09時26分42秒
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