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カテゴリ:小説・日本
あらすじはamazonからコピペ。 意味は「真実。ほんとうのこと」。 江戸は神田の古名主の玄関先に持ち込まれる騒動(いまでいう民事の範疇)を、やや頼りない跡とり息子・麻之助とふたりの悪友----男前でモテモテの清十郎、堅物の吉五郎が活躍し、絵解きします。 この彼らがとても魅力的なのです。ついついお話の向こう側まで想像してしまうような強力なキャラクターたちです。女性陣も負けてはおりません。 芯が強く、可憐な眦を決し、こうと決めたら動かない意気地のある女たちが生き生きと描かれています。 お腹の子の父は誰なのか? 万年青争いの真相は? ----切ない恋物語も織り交ぜられ、読者をつつみこむような畠中ワールドが存分に楽しめる一冊です。 ふうわりと温かな読後感をぜひ味わってみてください。 確かにふうわりと温かいんですが、私は読後にほろ苦さを感じました。 畠中恵という人は、軽妙洒脱な登場人物を主役にしても、どこかでほろ苦さがある物語を描く人だなぁって思いました。 主人公の麻之助は古名主の息子。 良く出来た息子だったのに、ある時を境にすっかり遊び人になってしまってる。 古名主と言うのは、現代で言えば、民事の裁判を扱ってるみたいなものでしょうか。 ご町内の揉め事を、麻之助が解決する話です。 そして縦の糸に、麻之助が変わってしまった原因になった恋物語が描かれてます。 これが私にはほろ苦いんです。 麻之助の友人に同じく古名主の息子・清十郎が居て、その父親は、麻之助の幼馴染のお由有と再婚している。 そのお由有の子供が誰の子供なのか?。 実はお由有は結婚前に付き合った男に逃げられ、しかしお腹に子供を宿していた。 清十郎の父は、そういう事、全てを承知の上で、お由有を後添いにし、子供の幸太も自分の子供としている訳です。 お由有が父親のいない子を身ごもった時、自分は由有を受入れることが出来なかった。 お由有の事が好きだったのに・・・。 この思いが、今も麻之助にあるのですね。 幸太がさらわれて、事件解決となった後、もう一度麻之助にチャンスが訪れる。 けれどそれは一瞬で消え去ってしまう。 たぶん麻之助は、この時の事の方に拘っていくことになるのだろうな、と思いました。 一度目は自分はまだお由有や子供を養っていける状態になかった、嫌いだった男の子供を受入れられるとも思わなかった。 二度目は違います。 チャンスと言うのは、実は二度目にこそあったんですよね。 手に入れられたかもしれないのに、と言う思いの方が、後々まで残ってる気がするなぁ、と。 ところで清十郎も昔からお由有を知っていたので、幸太が自分の父の子でないこともまた、感づいているのではないかと思いのですよ。 それでも幸太は父の子、自分の弟と言い、誘拐事件解決の後に麻之助の父に頭を下げて謝辞を言うシーンは、清十郎は大人だなと思いました。 対して麻之助はまだまだ子供。 麻之助と縁談が持ち上がるお寿ずと言う女性が魅力的です。 畠中恵の描く女性キャラの中では一番好きかも。 お由有の美しさを描いたシーンも好き。 お由有はですね、別の男の子供がお腹にいると分かっていて、自分を妻にした夫がいる訳ですよ。 でも麻之助にも色気を見せてる。 私は美しい女の、そう言う狡さの部分を含めてお由有が好きだけど、麻之助には分かってますかね・・・。 お由有のそう言う面をひっくるめて愛して、受入れるのならともかく、分かってないなら、そしてまだまだ子供だなぁと感じさせる面も多々あるので、やっぱりお寿ずと夫婦になった方が良いと思うな。 そして時々、手に入らなかった女に思いを馳せる、と。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年05月15日 11時22分41秒
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