CWA(英国推理作家協会)賞の最優秀長編賞受賞作です。
祭の夜、孤独な老人の家を訪れた二人の少女。
次の朝、雪原でその内の一人が遺体で発見される。
八年前にも起きていた少女失踪事件。
重なり合う奇妙な符牒。
シェットランド島の警部・ペレスが事件解決に乗り出す。
特筆すべきはシェットランド島の冬の描写でしょうか。
凍てついた島の暗い様子がありありと思い浮かびます。
その島の住人達の閉鎖性、閉塞感もたっぷり描かれている。
三人称、多視点で描かれていますが、閉鎖的な住民達の人間関係も読ませます。
視点となっている四人はそれぞれが悩みを抱えて生きている。
孤独な老人・マグナスは、八年前の少女失踪事件の時に容疑者だった。
それがあり今回も疑われ、逮捕されてしまう。
殺された少女の友人・サリーの変わっていく様子。
地元の富豪と結婚しながら、男の不倫で離婚し、小さな娘と生きるフラン。
出身は別の島のペレス警部。
その四人が交差する描写も見事です。
個人的には、たくさんの登場人物、犯人のミスリードの描写の割に、真犯人の描写が少ないようにも感じましたが(真犯人の心情を読みたいと言う個人的な希望ですね)、面白いミステリーでした。
最初に書きましたが、シェットランド島の冬、その住人達の閉鎖的な人間関係を読むだけでも楽しめます。
ミステリーとして楽しめることは、言うまでもありません。