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2009年03月16日
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R0019014雪合戦.jpg

 ムスコと金剛山に登ることにした。前日、天気予報で翌日の好天を確認した後、ムスコに訊いてみた。「あっちゃん、明日山に行くか?」すると「うん!」と嬉しそうに答える。金剛山のHPで積雪を確認してみると10cmと予想以上に雪が多いことが分かった。すでにはしゃいでいるムスコに「あっちゃん、明日、一人で登れる?ちょっとしんどいで?」と問うと「だいじょうぶ、あっちゃん5さいになったもん」。5歳になったというだけで自信満々に答えるムスコ。じゃ、行ってみるか。

 翌朝、寝坊した。8時に起きて大急ぎで朝食。昨晩のやる気はどこへやら、眠いのでもうどうでもいいや、といった風のムスコに服を着せてやる。途中で買い出しをして登山口に着いた時には11時になっていた。金剛山はこれまで何度も登っているが、今回はまだ一度も通ったことがなくて、しかも比較的登りやすい小和道を選んだ。登り始めてみると、なかなか軽快な足取りのムスコ、お、結構速いな。しかもしっかりしている。すでに私が知っているムスコではなくなっている。成長したな。

R0018838軽快な足取りのムスコ.jpg
いいペースで歩くムスコ。

 ほどなく天ヶ滝に着いた。ここまで30分、1時間と予想していたが、かなりのハイペースだ。頂上までは無理かなあ、と思っていたが行けそうだ。雪のないところはどんどん進む。ムスコはあちこち寄り道したり、松ぼっくりを拾ったりしたがっていたが、今回はアカンねん。

R0018812天ヶ滝にて.jpg
天ヶ滝にて。

R0018827ふざけた顔のムスコ.jpg
余裕の表情。

 どろどろ道がしばらく続き、いよいよ雪道に変わった。踏み跡たくさんあり、道がしっかりしているので、それほど危なくはないが、樹上の雪が溶けてボタボタと降ってくるのには参った。一度、私の頭にバレーボールほどの塊が直撃し、それを見ていたムスコはゲラゲラ笑っていた。全く。ドリフやあるまいし。

R0018842フキノトウ.jpg
雪の中からフキノトウが顔を出していた。

R0018864雪の中を進むムスコ.jpg
初めての雪中登山。

 13時20分、伏見峠に到着。地図上2時間のコースを2時間20分で登ってきたのだから、たいしたものだ。やはり5歳は違うのか?ここからは道がさらにしっかりしているし、植林が終わって雪が落ちてくることもない。しばらく歩くと、ちはや園地のログハウス。中はストーブがあって暖かい。ムスコの靴、靴下、手袋を遠慮なく乾かせてもらった。

R0018919伏見峠.jpg
伏見峠に着いて一安心。

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ストーブで暖まるムスコ。もう外に出たくねえ…

 ログハウスを出て湧出岳、一の鳥居を通って15時、ようやく葛城神社、山頂に着いた。ムスコはもうヘトヘトの様子。しかも靴が濡れて足が冷たいので、元気がない。それでも、ここまで一人で頑張って登ってきた。えらいぞ、あっちゃん。

R0019008三角点に座るムスコ.jpg
三角点に座るムスコ。

R0019040山頂.jpg

 売店で温かい飲み物を買って遅い昼食。その後は山頂広場に行って大阪の街を見下ろす。ムスコは疲れている上に、飯を食って眠くなり、ぐったりしていたが、PLの塔を見て、何だか信じられない様子でジーッと見ていた。来る時に、車の中からPLの塔を見上げて「あっちゃん、コレ、頂上から見えるねんで」と教えたのを思い出したのかも知れない。

R0019045PL塔を見つめるムスコ.jpg
PLの塔を見つめるムスコ。

 再び売店に戻り、おしるこを飲みながら、「おとうちゃん、かえり、おんぶして」とムスコ。この時すでに16時前。言われなくてもそうするつもりだ。「よしよし、あっちゃん、よう頑張ったもんな。今度はおとうちゃん頑張るわな。」ザックを前にムスコを後に。(重くなったな、あっちゃん)私は駆けるように下山した。

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下山時のいつものスタイル。

 1時間で天ヶ滝まで下りてきた。眠っているムスコはさらに重い。汗びっしょり、膝が笑いかけている。その膝に手をついて息を整える。その時、背中で「おとうちゃん、がんばれ」と小さな声がした。(あっちゃん、起きたか)よしっ!とまた歩き出す。ほどなく、登山口に着いた。

R0019086植林.jpg
小和道はずっと杉の植林。

 やれやれ、とムスコを降ろして記念撮影。すると、「ひ~ん」とムスコが泣きだした。「…どうした、あっちゃん?どっか痛いのか?まだ寒いんか?」と訊いてもむせぶばかり。かなり疲れたはずだ。戻ってきて安心したこともあるだろう。彼なりに達成感のようなものもあったのかもしれない。私は彼を抱き上げて駐車場まで歩いた。

R0019108泣きだしたムスコ.jpg
むせび泣くムスコ。

「あっちゃん、山、いやになったか」
黙って首を振る息子。
「じゃ、また、おとうちゃんと山登り、しよっか」
彼はまた黙ってうなずいた。

 父は抱いている腕に、そっと力を込めた。






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最終更新日  2009年03月17日 00時10分18秒
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