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一期一会(ぼくの読書日記)

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2011年03月04日
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カテゴリ:エッセイ

終戦の年に空襲で避難した谷中墓地で見た、夜空一面から朱の光が降りそそいでいた情景。
銀行の現金引出し専用機の前で、チャリンと出てきた十円硬貨一枚に一瞬頭が錯乱したこと。
小説家を目指す少年からの手紙や、漂流記の魅力について・・・
事実こそ小説である、という徹底した創作姿勢で知られる著者(故 吉村昭氏)が遺した、珠玉のエッセイです。

平成18年に著者は亡くなってしまったため、本書は著者が残した最後の著作物になります。

研究家の書いた著書も、公的な文書も決してそのまま参考にせず、一人で現地に赴き、独自の方法により徹底的な調査をする執念。
そして、余計なフィクションは加えず、あくまでも「事実こそ小説である」という創作姿勢がこの著者の作品には表れています。

「学者の方というのは自分の書斎に籠もりきりで出掛けていかない」と著者が言い切っているように、まさに「百聞は一見にしかず」を著者は身にしみて感じていたんだと思います。

例えば松があったといっても、それが赤松なのか黒松なのか、それがわからないと書けない。
馬が駆けてゆく場面を書くとしても、巻き上がる土埃が茶色なのか、あるいは砂っぽいのか、実際に駆けていった場所を見ないと書けないではないかというこだわり。

だから、わざわざ現地に行くことに意味があるのだそうです。

この作家としての執着心は、凄いですよね。
そんな「著者のこだわり」が本当かどうかは、物語の背景が事細かに表現されているこの著者の作品を読めばすぐに納得できると思います。

本書は「史実というものはそのままがドラマなんだから、史実を忠実に書くだけで小説になってしまうんだよ。」という著者の声がたくさん詰まっているエッセイです。

ひとりで旅をするからこそ、隠れた史実が見つけられたんでしょう。

著者が書き残した、数々の史実に基づいた小説を書く際の苦労話も読み応えありますが、この著書は、著者が亡くなってから発刊されているので、エッセイで語っている著者の言葉と、途中途中で挿入されている対談形式での著者の言葉が二度三度ダブっているのがかなり残念でした。
生前の著者だったらあり得ない編纂です。

オススメ度:★★★☆☆(ということで、残念ながら普通かな)ぺろり






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最終更新日  2011年03月04日 08時13分04秒
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