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カテゴリ:行政
県職員のカラ出張 県知事の損害賠償責任
県職員のカラ出張について、県知事に指揮監督上の義務違反があったとして、その損害賠償 責任が認められた事例 福井県の住民であるXらは、同県の平成6年4月から平成9年12月までの旅費の支出につ いて、公務出張の事実もないのにされた違法なものであり、これにより同県が損害を被った ものであるとして、同県に代位して、県知事の職にあったYに対し、16億9806万円余 の損害賠償を請求した。1,2審とも、本件訴えの前提とする監査請求について、請求の対 象の特定を欠き、又は、監査請求期間を経過しているとして、本件訴えを不適法却下したが 、最高裁平成16年12月7日判決は、前記監査請求は請求の特定に欠けるところはないと した上、平成9年8月16日以前にされた旅費の支出負担行為及び支出命令に係る部分につ いては地方自治法242条2項所定の監査請求期間を経過しており、同項但し書きにいう正 当な理由があるということはできず、不適法として却下すべきであるとして上告を棄却した が、平成9年8月17日以降にされた部分については、1,2審判決を破棄取り消した上、 事件を1審に差し戻した。 本判決は、本件のカラ出張は全庁的に長年にわたって行われた構造的組織的不正支出である とした上、Yが平成9年初めころに全庁的な調査を命じていれば同年8月17日から同年12 月までの旅費の不正支出を防止することができたとし、それにもかかわらず、平成9年12 月まで県職員の旅費の支出の実情の調査を命ずることなく、各部局に対して、適切かつ効率 的な予算執行に努めるよう指示したにとどまるものであるから、Yには専決権者が財務会計 上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し、過失により専決権者の財 務会計上の違法行為を阻止することなく、自ら財務会計上の違法行為を行ったと評価できる から、県に対して損害賠償責任を負うと判断し、Yに対し1億0983万0907円の損害 賠償を認めた。 控訴されている。 福井地裁平成18年12月27日判決 判例時報1966号40頁 ブログランキング参加してます。 ↓ クリック、よろしく! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.07.19 07:41:13
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