J・J・ジョンソン 『ジ・エミネント・J・J・ジョンソンVol. 2(The Eminent Jay Jay Johnson Volume 2)』
スリル+リラックス、ビ・バップからハード・バップへの移行のドキュメント かなり前に取り上げた『ジ・エミネント・J・J・ジョンソンVol. 1』に続いてブルーノートから出されたのが、本盤『ジ・エミネント・J・J・ジョンソンVol. 2(The Eminent Jay Jay Johnson Volume 2)』。(オリジナルの)ジャケットも同じデザインの色違い(Vol. 1ではJの文字が赤色なのに対し、Vol. 2では緑色になっている)である。 ビ・バップからハード・バップへと移ろいゆく瞬間のドキュメント。そして多くの曲の演奏は、第1集と同様に“スリリング”である。ブルーノートの1500番台初期においてはとりわけ、同じジャケットでいわば“前編”と“後編”のように、Vol. 1、Vol. 2となっている盤は多いが、この盤で少し面白いと思わせられるのは、最初の盤と同じ曲の別テイクが2つ収められている点である。 4.「ターンパイク」は前作の1曲目だったナンバー、そして、本盤の最後を飾る10.「カプリ」は前盤でA面ラストの曲。前者はジョンソン自身の曲で、後者はジジ・グライス(本盤の演奏には参加していない)の曲である。筆者の好みでは「ターンパイク」の演奏は本盤の方がお気に入り、「カプリ」はどっちつかずに甲乙つけがたいままの評価でいるのだけれど、いずれも好演。 全体としては、『Vol. 1』と同じくスリリングさが最大の売りであると思う。その上で、ひたすら攻めにまわるのではなくて、適度にリラックス感があるのがいい。全体を構成したアルフレッド・ライオンの功績なのか、はたまたJ・J・ジョンソン本人の才能だったのか、とにかく“押し”と“引き”のバランスが気持ちいい。少し例を挙げると、1.「デイリー・ダブル」から2.「ペニーズ・フロム・ヘヴン」へと続く流れは結構スリリングだと思う。けれども、どちらの曲にもいくらかのリラックス感はあって、それが3.「ユーア・マイン・ユー」まで行くとすっかりリラックスなムードである。やんわりしてきたかと思うと、4.「ターンパイク」は出だしから再びスリリングさが全開になる。このような具合で、全編を一気に聴いてもリラックスしすぎることもなく、緊張しすぎることもない、実にバランスの取れた環境で聴き手は惹き込まれてしまう。 ジャズを聴く際に、正座をして一音たりとも逃さず、修行僧のように聴くというのも決して悪くはないとは思うけれど、こういう盤のように、押しと引きのコントラストがある盤がもっと気軽に楽しく聴かれるようになったら、ジャズ・ファンの裾野が広がった(否、今からでも広がる)のかもしれないと思ったりもする。そして、聴いていく中でそれが超一流のメンツ(下記パーソネル参照)によるものだと気づいていく、そんな聴き方があっても楽しいのではないだろうか。[収録曲]1. “Daylie” Double2. Pennies from Heaven3. You're Mine, You4. Turnpike(別テイク)5. It Could Happen To You6. Groovin7. Portrait of Jennie8. Viscosity9. Time After Time10. Capri(別テイク)[録音・パーソネル]1953年7月22日(4.、5.、10.):J.J. Johnson (tb), Clifford Brown (tp, 5.を除く), Jimmy Heath (ts, bs, 5.を除く), John Lewis (p), Percy Heath (b), Kenny Clarke (ds)1954年9月24日(9.):J.J. Johnson (tb), Wynton Kelly (p), Charles Mingus (b), Kenny Clarke (ds)1955年6月6日(1., 2., 3., 6., 7., 8.):J.J. Johnson (tb), Hank Mobley (ts), Horace Silver (p), Paul Chambers (b), Kenny Clarke (ds) 【メール便送料無料】J.J. JOHNSON / EMINENT J.J. JOHNSON 2 (RMST) (輸入盤CD) (JJジョンソン) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓