絶対っていうか。
「絶対音感」最相葉月(著)を読んだ。とても有名な本だったから、もちろん以前から存在は知っていたけど、この本が出されてからと言うもの、「ねえ、絶対音感って持ってますか?」と聞かれる事が増え、「あ、持ってますよ」と答えようもんなら、相手「へ~~~~!じゃあ、この音、分かりますか?カーン(何かを叩く)」私「ラかな・・・。」相手「わ~すご~い!正解かどうか分からないけど、すごいですよね~!」私「ってか、正解分かんないんでしょ・・・?」みたいな会話が増えて、なんとも迷惑な本が出たもんだな。と思っていた。絶対音感を超能力か何かのように神話的にとらえた本だと思っていたら、「それに対する警鐘」のようにもとらえられる本であった。実際、戦争時代には「絶対音感を養成して、敵の方向距離などを測る人間レーダーを作る」とかやってたんだそうです。おもしろ~い。音楽や芸術一般と言うものは優劣の基準がないので分かりにくいんですよね。例えば、「ミネストローネ・コンクールで優勝され、現在はアクアパッツア交響楽団で指揮をされています」とか紹介されると、「なんか、すごいのかも・・・。ありがたや・・・。」と良い演奏に聴こえちゃったり、逆に、ものすごくキャリアを積んだソリストですら新聞に、「集中力を欠いた演奏であったと感じたのは筆者だけであらうか・・・。今後の活躍にますます期待する。」とか書かれちゃうわけなので、ま、実際にはとっても良い演奏だと私が感じたとしても新聞にはそう書かれてしまう事もあるわけで、やっぱり、音楽家って大変ですよね。そんな時に、分かりやすい「絶対音感」って言葉だけが勝手に一人歩きして、持ち上げられては落とされて、最終的には、「絶対音感を持つ事は音楽性の妨げになる」とか言うのだけはやめてほしいです。実際には、絶対音感を持ってて苦労したのはバロック楽器で弦の調律を変えた時くらいでしたが、これも次第に脳か何かが適応しようとするもんなんですね。↑こういった私のこれまでの思いが理論的に書かれていておもしろかったです。実際には、相対音感って言うんですか?和声的に音程取ったりというのはまた違った要素が必要なので、いまだに勉強しています。そして、私にとって一番勉強になったのは、「カクテルパーティー現象」カクテルパーティーの中でも、自分の聞きたい音だけを脳が識別する事は、人間の素晴らしい能力なんだそうです。つまり、オケやってると「あー、なんでこの人、ピツィカートになったら走るのかなぁ・・・。」「あー、なんでこの人、和音の時、こんな汚いで弾くのかなぁ・・・。」とイライラすればするほど、その音ばっかり聴こえてきてムキィ~ってなることがありますが、(あ、一般論ですよ)どの音を聞くのかは、本人の意識の問題なので、たぶん・・・いや、絶対、訓練で出来るはず!そう、自分の意識を遠く、遠くへ置くのです。むしろ、修行ですな。そういえば、ヨーロッパの有名オケの頭をやってたビオラ奏者が、「オケでうまく弾きたいなら、遠くの音を聴きなさい」っておっしゃってました。聴く耳を持つって、追及すると先がないですね。みなさんもこれを実生活に生かしてみよう。たとえば、隣人がうるさい。または、家人がうるさい。自分のやることなすこと、細かく文句つけられる。「そんな時には、遠くの音を聴きなさい。きっとあなたのスピリッツは大きく解き放たれる事でしょう。」びば、カクテルパーティー。