テーマ:本のある暮らし(3217)
カテゴリ:読みたい本、注目の本
『打ちのめされるようなすごい本』米原万理(文藝春秋)
読子さんのお知らせもあって注目していたこの本。米原万理は『不実な美女か、貞淑な醜女』しか読んでいないが、ユーモアにつつまれた雄雄しいきっぱり感が嬉しくて、著書を全部読みたくなった作家。特に書評は如何に?と思っていたのだ。 10月15日の発売を待って、2,400円という値段に多少躊躇したものの購入に踏み切り(おおげさ)、私が読み知っている本についてなんて書いてあるかと、パラパラとめくっていたらこれがとまらない。 第一部は週刊文春に連載されていた「私の読書日記」。第二部は1995年から2005年までの時々の書評全部が網羅されているという。帯の「最初で最後の書評集」がしんみりする。 500ページの部厚い本だし、こま切れの書評が一気に読めるとは普通続かないのだけれど、歯切れのよさ、ユーモアに次は、つぎは?と読んでしまう。 本職がロシア語の通訳なのでロシア関係の本も多いが、猫好き動物好き、旺盛な好奇心によって選ばれる本の数々、ジャンルの豊富さにはものすごく刺激を受けた。あのエッセイの面白さはこの知識欲の塊から来たものなのね、と納得。 でも、多い書評の骨頂はかもされる面白さ。「む、ぐ、ふふふふ」と笑い出したくなる文章のセンスがいいのが好き。 「私の読書日記」の最後のほうは、やはりガン関係の本が多く哀切をよぶが、泣き言はなく冷静さを失っていないところがらしいので、安堵する。 井上ひさしの解説に 「書評は常に試されている。まずその書物を書いた著者によって、その書評に誘惑されて書物を買った読者によって試されている。誉めれば甘いと叱られ、辛口にすればたぶん一生恨まれ、ほどほどにしておけば毒にも薬にもならない役立たずと軽んじられる。…」 という仕事を、こんなに嬉々とされていた米原万理、ばんざい!! まだ全部は読んでいないが、途中でこの感想を書きたくなった。私が読みたくなった作家がまた増えた。その名は斉藤美奈子、奥田英朗。まだまだ出てくるかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[読みたい本、注目の本] カテゴリの最新記事
私の読書日記ずっと読んでおりました。がん告知も
途中で知りましたが、なんと潔い方かと心透く思いがいたしました。 奥田英朗さん。町長選挙その他読みましたが、とんでもないキャラクターの医者が出てきて笑えます。 ガールはちょっと違った感じでしたがこれも 楽しめました。 (2006年10月22日 13時29分01秒)
こんにちは。本代が高いなと思っていましたが、そんなに厚い本だったのですね(ハァァ)
ばあチャルさんが「読みやめられない」のでは、良い本なのですね! 奥田英朗は面白いです。 (2006年10月22日 16時37分41秒)
米原万理さんの本はエッセイを一冊しか読んでいないのですが、
すごい好奇心と食欲を持つ、くっきり美女の痛快エッセイと言う感じで、とても好感を持っていました。 これも、読みたい本リストに入れました。 そうそう、今日図書館で「或る女」借りてきましたよ。 こんなに長い小説だったっけ?という感じです。 早く今読んでるのを終わらせようっと。いそいそ・・・・ (2006年10月22日 18時20分31秒)
私も奥田英朗さんは、大ファンです!
是非、読んでください^^ (2006年10月22日 23時59分59秒)
>私の読書日記ずっと読んでおりました。がん告知も
>途中で知りましたが、なんと潔い方かと心透く思いがいたしました。 読書日記は当時の世界情勢も入っていて臨場感あふれていましたので、リアルタイムでお読みになったとはうらやましい。私は当時を思い出しながら読みました。といっても5年以上も前ではありませんよね、光陰矢のごとし。 (2006年10月23日 07時28分35秒)
私は人文学にあまり興味を惹かれなくて疎いのですが、そんな本の紹介、書評が多く、多彩な方面の読書に興味、探求の米原万理さんのエネルギーに脱帽、目覚めさせられましたよ!
(2006年10月23日 07時34分49秒)
>すごい好奇心と食欲を持つ、くっきり美女の痛快エッセイと言う感じで、とても好感を持っていました。
>これも、読みたい本リストに入れました。 やはり本の情報の宝庫です♪世の中の動きと書評が連動しているから面白いです。2001年から2006年のね。 私たちも今読んでいる本から人生の行方なんかをつい推し量ったりしていますよね。本の内容が先なのか、人生が先に過ぎているのか。 「或る女」だってとんでもない人生なのにシンクロするところがある(笑) (2006年10月23日 07時42分29秒)
この本、私も買ってみます。
斉藤美奈子さんは私大好きです。 (2006年10月23日 14時46分55秒)
ロシア語同時通訳時代から有名な人でした。
私も本格的日本人?で無いところがあるので、彼女の書き物には共感を持っていました。 週刊文春の読書日記も面白かった。 テレビのワイドショーのコメンテーターになったときだけはちょっと生彩がなかった。 彼女の本は、数冊持っているので(発酵中)、そのうちに読みましょう。 (2006年10月23日 21時43分57秒)
>週刊文春の読書日記も面白かった。
読了しましたが、最後の「癌治療本我が身を以って検証 1、2、3」はやはり打ちのめされてしまいました。強くて、冷静なのですが人間味あふれていて…。 第二部の各誌に書いた数々の本の書評も続けて読むと、その作者の生き様が透けて見えるのでなるほどと思いました。書評もその人の人生を垣間見れるのだなーと。それともそれが文才なのかもしれません。 >テレビのワイドショーのコメンテーターになったときだけはちょっと生彩がなかった。 そういう人はいます。ほかにもね。面白い現象ですね。 (2006年10月24日 08時06分13秒) |
|