11月の読書は11冊になった
![11月(1)](https://image.space.rakuten.co.jp/d/strg/ctrl/9/33819f83a490432fbc2d8e90baa0b5699d53fb13.01.2.9.2.jpeg)
山田風太郎『戦中派焼け跡日記』は12月に入って、もう少しで読了する
小説ではない、個人的ドキュメンタリー日記がなかなか興深くてやめられない
というか、知らなくて知らなくてごめんなさいと思いながら読む
昭和21年(1946年)風太郎氏24歳、東京は三軒茶屋に下宿しての医学生
配給も滞り、闇物資は高騰し、ものすごい食糧難
その描写がなまなましい、青春まっただ中なのに
日記には毎日、毎日どのように食物を手に入れただか、が克明だ
例えば
十月八日
「...バラックの食物屋を覗いて歩く。茄子十円求む、十二、三個。」
十月十一日
「...新宿にて南瓜一貫目と少々、十八円にて買いて帰る。
米も粉も麦も芋も尽きたり、今夕より南瓜を煮て飢えをしのがんとす。
ヘルマン・ヘッセ『秋の徒歩旅行』読。」
空腹を抱えているのに、医学勉学に励みながら映画もよく見に行くし
停電もありながら、毎日のようにたくさんの本を読書する青年の風太郎なのだ
その頃とは、わたしが4歳の時にあたる
わたしの親たちは大変だったのだろうが
もう生まれながらに食への関心がなくて、苦痛の経験がないから
「そうだったのか!」と身に染みて追体験しているように思う
それなのに、それだからこそか
食物の苦労話の間に挟み込まれた、思索や青春の悩みが
さながらひかり輝いているような風である
雨や風、日の光、蒼穹
ちょっとした路傍の忘れがたき風景の描写もすばらしい
なるほど将来の物語作家の下地ありありなので...
![11月(3)](https://image.space.rakuten.co.jp/d/strg/ctrl/9/d5035165d3f4d2bf5d6e09751294310a661fa2a6.01.2.9.2.jpeg)
カバーの絵がキュートなジェームス・M・ケインの小説
有名なベストセラー『郵便配達は二度ベルを鳴らす』を初読
なるほど生きのいい面白さ!
ところがケインの幻の遺作というので一緒に購入した
『カクテル・ウエイトレス』がなんとも面白い
子持ちのうら若き未亡人が初老の富豪に見初められて
おさだまり、貧乏なハンサム青年にも心惹かれ
さてどうすのるか?
っていう通俗が、あら、あら、あーらら
なまなかな女ではないのよね、でも、最後が...
![11月(2)](https://image.space.rakuten.co.jp/d/strg/ctrl/9/1cf46ea4c40fa671dfea9be54003298e1f789b82.01.2.9.2.jpeg)