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cms@ebisu

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2007.06.30
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カテゴリ:演劇、観劇
とうとう野田秀樹が直球を投げてきました。
『オイル』以来作者の訴えを感じ、『ロープ』で観客として考えなければならない事柄をつきつけられ、そして今回、ついに目をそらすことができない状況になりました・・・。
・・・などと一人で息巻いていたら、原作は筒井康隆の「毟りあい」で、しかも1976年に書かれた作品だそうです。

共同脚本は野田秀樹&コリン・ティーバン。
日本語による日本バージョンと、ロンドンバージョンという英語上演の公演があり、野田は両方の演出を手がけます。

シンプルな舞台。
創意工夫の感じられるセットと俳優4人だけの世界。
ある一人のサラリーマンが、帰宅すると脱獄犯が妻と息子を人質に家に立て籠もっているという状態でした。
メディアの取材攻勢を受け、「被害者」という立場から彼は警察に訴えかけます。
果たして警察は何をしてくれるのでしょうか。
説得するよう、犯人の妻に頼みに行きますが断られ、そこで彼は怒りに任せて意外な行動に出ます。
結局、犯人にも思い知らせようと、その妻と息子を人質に、自らが犯人に電話で脅しにかかるのです。

一人の一般市民が、被害者となった途端に加害者となり、標的に攻撃をしかけていく。
そこで犠牲になるのは女性と子供。
犠牲者はますます傷つけられ、両者の攻撃はエスカレートしていきます。
悲しいことに、攻撃と犠牲が日常化されて、犠牲者自らがその苦しみから逃れる意思までもが麻痺してしまいました。

ここまでストレートに野田秀樹は描きました。
目前の、いわゆる終わりのない戦争の縮図。その結末に救いを求めながら観ていましたが、そんな末路には崩壊しかないのでしょうか。
作品は、戦いが導くものを訴えつつ、もしかすると今ならまだそんな悲惨な状況にはならないからなんとかすべき、と警鐘を鳴らしているようにも見えます。
途中から頭を殴られたような衝撃を受けながら、訴えるものを考えずにはいられなくなりました。

7月12日からは、演出内容とキャストを一新したロンドンバージョンの同作品が上演されます。
日本バージョンを観た観客として、もう一方の作品を見届けずにはいられない心境です。

プログラム冒頭に野田が記していた「後に引きずるのは悪い夢の方」という言葉。そんな悪夢のような作品を意図したようです。
そして観客に「なんでこんな夢を見てしまったのか考えることになると思う」ということも記されていました。

日本バージョンの主演者は、野田秀樹、秋山菜津子、近藤良平、浅野和之

NODA・MAP番外公演/世田谷パブリックシアター提携公演
原作・筒井康隆、脚本・野田秀樹&コリン・ティーバン、演出・野田秀樹
美術・堀尾幸男、照明・小川幾雄、音響・効果・高都幸男、映像・奥秀太郎

※公演詳細は、世田谷パブリックシアターのサイトで。

(シアタートラムにて)

☆著者・筒井康隆「傾いた世界 」新潮文庫
 「毟りあい」を収録。
 





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最終更新日  2007.07.02 12:39:50
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