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カテゴリ:演劇、観劇
11月7日にシアタークリエがオープンしてからちょうど一カ月を過ぎた頃に、もう一度観に行きました。
講談師に扮する堺正章が、この一カ月を振り返りしみじみと述べていたその気持ちが観客にも伝わってきました。 作・演出の三谷幸喜は、幕が開いて以来、毎日ダメ出しをし続けて、自分が書いたにもかかわらずココはオカシイと言っては直していた、などとホントかウソかわからないような話で観客の心を捉えていました。 三谷幸喜作品と言えば、役者への当て書きでも知られていますが、この作品は‘劇場への当て書き’のように見えます。 アメリカへ渡った川上音二郎一座が、ボストンの劇場で明日の初日のために舞台で稽古しているという設定です。 舞台となるのは、まるごと実際の劇場です。 そのため、外からやってくる役者たちは、客席を通って舞台に上がるのです。 この劇場(シアタークリエ)が回り舞台を備えていることも、芝居の流れで見せてくれます。 ここでは観客はもちろん存在していないわけですが、悪戦苦闘の末に幕を開けた芝居の場面では、「参加型」と称して劇中劇を鑑賞する観客として私たちは存在することになりました。 劇中劇もあり、上演時間がプレビュー初日には休憩含め4時間近くありましたが(現在は3時間20分ほど)、テンポも良く、話の内容も芝居に集中しているので、その過程を楽しむような作品になっています。 座ったのは最後列から2列目でしたが、舞台との距離をそんなに感じず、舞台を見る高さは前方の席よりも逆にちょうど良いくらいの見やすい席だと感じました。 前列の観客の頭が気にならない傾斜が気に入りました。 そしてこの作品にとっては、この辺りの方が数倍も楽しめるのです。 と言うのは、前方の席からは全く見えなかったボックス席にも種が仕掛けられているからです。 さて、ここからは劇場そのものについて述べましょう。 プレビュー初日に抱いた劇場への懸念は、一つひとつ解決されていたことをお伝えしなければなりません。 リピーターが多かったのか、一階にあるロッカー(無料)へ直行する利用者が目立ちました。 そして大変な混雑を見せていたホワイエは、今回は広々として見えます。 中央に置いてあった大きなソファーが全て取り払われていて、人の往来も楽になりました。 そうなると、奥にある売店のカウンターでコーヒーでも買おうかしらという気になります。 テレビで見かけた名物のスイーツを購入するお客が結構いました。 女性用トイレへの誘導も、ホワイエが広く使えることにより、並ぶのもそう気にならなくなってきました。 さて、あの大きなソファーはどこへ行ったのかと言うと・・・一階の入場エリアの壁沿いに置いてありました。 待ち合わせや、荷物を置いてコートを着るのに、ちょうど良い場所です。 試行錯誤の末、それぞれの役目を果たし始めた劇場の、今度は使い勝手の良さを見つけるのは、観客の楽しみでもあると思います。 作・演出・三谷幸喜 、美術 ・堀尾幸男、照明・服部基、衣裳・黒須はな子 ※公演詳細は東宝の公式サイトで。 (シアタークリエにて) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.12.16 22:15:05
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