カテゴリ:金融資産運用
3級FP技能士 合格講座 中野克彦 中島智美 藤崎仁
(41) 日本銀行が行う金融政策のうち,( )は市中金利の上昇要因であ る。 1) 公開市場操作の売りオペ 2) 預金準備率の引下げ 3) 基準貸付利率(公定歩合)の引下げ 解説者:中野 克彦 (経営コンサルタント、CFP(R)、1級FP技能士) (41) 正解:1 【日本銀行の金融政策】 市中金利の上昇要因となるのは、公開市場操作の売りオペなので、「1」が正解です。 預金準備率の引き下げや公定歩合の引き下げは市中金利の下降要因となります。 【過去の出題】 2007年5月3級学科試験 (12)「日本銀行の金融政策」 2006年9月3級学科試験 (41)「日本銀行の金融政策」 2007年5月3級実技試験 問4「日本銀行の金融政策」 2007年1月3級実技試験 問4「日本銀行の金融政策」 日本銀行は、下記3つの金融政策を駆使することで、世の中の金利をコントロールしています。 ┌─────────┐ │1.公定歩合操作 │ │2.預金準備率操作│ │3.公開市場操作 │ └─────────┘ 市中の資金、つまり世の中に出回っているお金の量(流通量)のことを「マネーサプライ」といいます。マネーサプライが増加すると金利は低下し、逆に減ると金利は上昇します。 では、1つひとつ日本銀行の金融政策について説明していきます。 <1.公定歩合操作> 公定歩合とは日本銀行が民間銀行に貸し出しをするときに適用する基準金利のことをいいます。 公定歩合を引き下げると、民間銀行は資金の調達がしやすくなり、市中の企業や個人(住宅ローンなど)を積極的に貸し出そうとします。その結果、マネーサプライは増加します。 ┌──────────┬───────┬────┐ │ 公定歩合操作 │マネーサプライ│ 金利 │ ├──────────┼───────┼────┤ │公定歩合の引き上げ │ 減 少 │ 上昇 │ │公定歩合の引き下げ │ 増 加 │ 低下 │ └──────────┴───────┴────┘ <預金準備率操作> 民間銀行は、残高の一定割合を準備金として日本銀行に無利子で預けておかなければなりません。その割合を預金準備率(支払準備率)といいます。 預金準備率を引き上げると、民間銀行はより多くの資金を日本銀行に預けなければならなくなります。つまり、市中にに出回るはずだった資金が日本銀行の金庫に行ってしまうわけです。その結果、マネーサプライは減少します。 ┌──────────┬───────┬────┐ │ 支払い準備率操作 │マネーサプライ│ 金利 │ ├──────────┼───────┼────┤ │法定準備率の引き上げ│ 減 少 │ 上昇 │ │法定準備率の引き下げ│ 増 加 │ 低下 │ └──────────┴───────┴────┘ <公開市場操作> 日本銀行は短期金融市場で債券や手形を売買することで、市場の資金量を調整し、市場金利をコントロールしています。これを公開市場操作といいます。 民間銀行が保有している国債や手形を日本銀行が買うと(買いオペレーション)国債や手形が日本銀行に、現金が民間銀行に移ります。民間銀行に現金が異動することで、市中に出回る通貨の量が増えることになります。 ┌────┐ │日本銀行│買いオペレーション └┬───┘ 現金↓ ↑国債・手形 ┌──────┴───┐ │ 民間銀行 │ └──────────┘ 貸出増加↓ ↑ ┌────────────┐ │ 世の中のお金の量は増 │ │ (マネーサプライ増) │ │ ↓↓ │ │ 市中の金利は低下 │ └────────────┘ 逆に、日本銀行が保有している国債を民間銀行に売ると(売りオペレーション)世の中のお金の量が減るので金利は上昇します。 ┌──────────┬───────┬────┐ │ 公開市場操作 │マネーサプライ│ 金利 │ ├──────────┼───────┼────┤ │売りオペレーション │ 減 少 │ 上昇 │ │買いオペレーション │ 増 加 │ 低下 │ └──────────┴───────┴────┘ 過去の出題を見ても分かる通り、日本銀行の金融政策の問題は、毎回出題されています。しかしどの問題も、上記で説明したことを理解しておけばすべて解ける問題です。 この問題を通して「日本銀行の金融政策」を勉強しておきましょう。 ────── COPYRIGHT (C) 2007 Katasuhiko Nakano All Rights Reserved. ────── お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2007.11.05 12:17:28
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