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2009年05月03日
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カテゴリ:シリーズ幕末史

土佐藩の後ろだてを受けることになり、「亀山社中」は「海援隊」と改称。

その最初の仕事は、蒸気船「いろは丸」による、
長崎から大坂まで物資を運ぶというものでした。

しかし「海援隊」は、この最初の航海から衝突事故に見舞われることになりました。
「いろは丸」事件と呼ばれるもので、
この事件は、日本初の蒸気船同士の海難事故であり、
又、近代海難裁判の先駆けとなった事件でもありました。

以下、「いろは丸」事件の概略です。

海運に使える船を入手するため、
方々から情報を集めていた坂本龍馬。

ついに、入手できたのが伊予大洲藩の蒸気船でした。
これも、元はといえば薩摩藩所有の船だったのですが、
薩摩が別の大型船を入手するために手放したものを
龍馬と薩摩の五代才助の周旋により大洲藩が購入。
この船を「海援隊」が運用するということで話がまとまったのでした。

龍馬は、この船を「いろは丸」と命名。
早速、物資輸送の仕事が入ってきます。

慶応3年(1867)4月19日に長崎を出港。
諸藩に売り捌く武器や商品を満載して、大坂を目指します。


しかし、4月23日夜半のこと、
岡山の六島沖で、突如、大きな軍艦と衝突しました。

相手の船は、紀州藩の「明光丸」。
「いろは丸」の6倍ほどもある巨船で、
これが「いろは丸」の右舷に激突したのです。

しかも、何を思ったのか、一旦、後退したあと、
さらに猛スピードで再度衝突しました。

龍馬を始めとする乗員は、「明光丸」に乗り移って無事だったものの、
「いろは丸」は自力で航行出来なくなり、
近くの鞆の津まで曳航してもらうことになります。
しかし、大破した「いろは丸」は、結局、それに堪えられず積荷もろとも沈没。

ここから、龍馬の「海援隊」の紀州藩を相手にした賠償交渉が始まります。


龍馬にしてみると、やっとの思いで手に入れた蒸気船で、しかも、その初めての航海。
これまでにも、数度にわたって船を失っているだけに、
龍馬にとっては、決死の交渉となりました。
このあたり、龍馬の人生は、なぜか、不運に見舞われ続けています。

たとえ、天下の大藩、御三家である紀州藩とはいえ、負けるわけにはいきません。
龍馬は必死でした。

龍馬は、航海日誌や海路図の提出を求め、
さらに、当時の国際法である万国公法に基づいて、
責任の所在と、徹底的な原因追及をしていきます。
このあたりが、近代海難裁判の先駆けと呼ばれているゆえん。
交渉は昼夜を問わず続けられ、激しい議論が繰り返されました。

その結果、
・明光丸は、2度にわたり衝突した。
・衝突した時刻に、紀州藩は、見張りを立てていなかった。
この2点を紀州藩側に認めさせます。

しかし、賠償問題についてはここで決裂。
紀州藩は、航路を急ぐと称して長崎に向けて出航していきました。
龍馬もこれを追いかけて長崎へ。
この後、交渉の舞台は長崎へと移っていきます。

なおも、膠着状態が続いていく賠償交渉。
しかし、これを決着させたのが後藤象二郎でありました。

後藤象二郎は、紀州藩の勘定奉行である茂田一次郎とのトップ会談に持ち込み、
この会談の席で、終始、紀州藩側を議論で圧倒。
ついに、紀州藩側に非があることを認めさせました。
そして、賠償額を設定。
ここには、薩摩藩の五代才助が周旋に入り、
7万両の賠償を紀州藩が支払うことで、
事件は、ようやく決着しました。

この間、紀州藩は、執拗に食い下がってくる龍馬に対して恨みを抱き、
事件をうやむやのうちに解決させようとして、
龍馬の暗殺まで企てたと言われています。


後の龍馬暗殺事件には、色々な説がありますが、
そのうちの紀州藩犯行説の根拠となっているのがこの事件。

龍馬暗殺の直後においては、
海援隊士が、紀州藩士に対して仇討ちと称して斬りこみをするなど、
龍馬暗殺は紀州藩の犯行であると、当時、考えられていたほどでした。






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最終更新日  2009年05月03日 17時55分24秒
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Re:「いろは丸」事件(05/03)   レーナマリア さん
この話は知りませんでした。
「竜馬が行く」に書いてあったのかもしれませんが、まったく覚えていないので、面白かったです。

龍馬はカッコいいし、いつもついているように思いがちですが、アクシデントもあったのですね。
でも、そのアクシデントに負けるのではなくて、粘り強く交渉をするあたりは、まさに見習うべき姿勢ですね。

交渉ごとの苦手な日本人は「普通そうはしないでしょ。」などという考えであきらめがちですが、世界ではそれは通じないですよね。

それに、今のような不景気で不安定な時代です、龍馬を見習って生きていくことも大事なことなのかもしれません。

現代人も龍馬から学ぶべきことはたくさんあるようですね。 (2009年05月03日 21時13分28秒)

Re[1]:「いろは丸」事件(05/03)   gundayuu さん
レーナマリアさん
おはようございます。

>この話は知りませんでした。
>「竜馬が行く」に書いてあったのかもしれませんが、まったく覚えていないので、面白かったです。
>龍馬はカッコいいし、いつもついているように思いがちですが、アクシデントもあったのですね。

龍馬はこの年の11月に暗殺されるのですが、
その最期の2~3年は、本当に多忙を極めていて、
大きなことを成し遂げているうらで、
結構、色々な事件に巻き込まれているのです。
「竜馬がゆく」にも「いろは丸事件」は出てきてましたね。

>でも、そのアクシデントに負けるのではなくて、粘り強く交渉をするあたりは、まさに見習うべき姿勢ですね。
>交渉ごとの苦手な日本人は「普通そうはしないでしょ。」などという考えであきらめがちですが、世界ではそれは通じないですよね。
>それに、今のような不景気で不安定な時代です、龍馬を見習って生きていくことも大事なことなのかもしれません。

そうせざるを得ない状況でもあったのだと思います。
「海援隊」は、土佐藩の外部組織という位置づけですが、
平常、藩が資金提供していたわけでなく、
自分で稼いでやりくりしていかないといけない。
そういう独立した立場を貫きたかったのだと思います。それだけにこの損失は大きな痛手だったんだと思います。
龍馬は中小企業の社長さんみたいなものですからね。

>現代人も龍馬から学ぶべきことはたくさんあるようですね。

そうだと思います。
龍馬は生きることに必死でしたね。
(2009年05月04日 06時39分04秒)

龍馬の粘り越しは、、   夢見るグランマ さん
生活のためであり、、
生きていく上で絶対に必要なものだったと思います。

私も、、
NYでイベントをする時に、、
この粘り越しで成功させたようなところがあります。

粘り越しは、、
何があっても諦めないということだと思います。

諦めない。
そのことで人生は、、きっと好転すると信じています。

この混沌とした時代、、
諦めないという心根は絶対に必要不可欠なように思います。

だからこそ、、
龍馬さんから学ぶことは多いですね。

(2009年05月04日 15時42分44秒)

Re:龍馬の粘り越しは、、(05/03)   gundayuu さん
夢見るグランマさん
おはようございます。

>生活のためであり、、
>生きていく上で絶対に必要なものだったと思います。
>私も、、
>NYでイベントをする時に、、
>この粘り越しで成功させたようなところがあります。

そうですよね。
何事も、そう簡単にうまくいくはずはないですから、
粘り越し、諦めずに繰り返すことが大切だと思いますね。

>粘り越しは、、
>何があっても諦めないということだと思います。
>諦めない。
>そのことで人生は、、きっと好転すると信じています。

最初から駄目だと思ってしまうのが、
いけないんだと思います。
駄目だと思って諦めたら、そこで、終わりですから。
私も、よく見習いたいものです。

>この混沌とした時代、、
>諦めないという心根は絶対に必要不可欠なように思います。
>だからこそ、、
>龍馬さんから学ぶことは多いですね。

龍馬の粘り、あまりイメージはないのかもしれないですが、
でも、そうした資質を持っていることが、大事を成し遂げたゆえんなのかも知れませんね。
(2009年05月05日 08時54分08秒)

Re:「いろは丸」事件(05/03)   G3(じーさん) さん
この事件こそ、竜馬の交渉術の真骨頂だと思います。薩長の仲介ももちろん難事ですが、いわば、公と公という対等の立場を結びつけるために中立の立場で望んだもの。対していろは丸事件は、公(それも御三家という強大な)と民との交渉。事実に基づき、きちんと理論的に主張する交渉術からは、実に合理的、論理的な思考の持ち主だったことをうかがわせます。

そこへ持ってきて器の大きさと行動力。本人は政治家にはなる気はないでしょうから、現代に生きていれば相当な実業家として名をなしていたでしょうね。 (2009年05月09日 14時33分02秒)

Re[1]:「いろは丸」事件(05/03)   gundayuu さん
G3(じーさん)さん
おはようございます。

>この事件こそ、竜馬の交渉術の真骨頂だと思います。薩長の仲介ももちろん難事ですが、いわば、公と公という対等の立場を結びつけるために中立の立場で望んだもの。対していろは丸事件は、公(それも御三家という強大な)と民との交渉。事実に基づき、きちんと理論的に主張する交渉術からは、実に合理的、論理的な思考の持ち主だったことをうかがわせます。

>事実に基づき、きちんと理論的に主張する交渉術
これは、現代社会で仕事をしていく上でも必要なスキルですね。
そうは思っていても、なかなかうまくいかないのは能力の違いなんでしょう。
龍馬を見習いたいものです。

この事件で龍馬側が勝利した裏には、土佐や薩摩や長州まで、龍馬の持つネットワークを駆使して応援を求めたり、
長崎の市民の間で囃し歌を意図的に広めたりと、根回しを含め、あの手この手と色々なことをやっているようです。
この事件の対応についての龍馬の意気込みと交渉術の奥深さを感じます。

>そこへ持ってきて器の大きさと行動力。本人は政治家にはなる気はないでしょうから、現代に生きていれば相当な実業家として名をなしていたでしょうね。

もう、凄い実業家になっていたと思いますね。
維新がなったら、世界の海援隊をやると言っていたそうですが、彼なら世界でも一流になれたのではないでしょうか。
日本政界の首脳には彼の親友がいっぱいいますしね。
(2009年05月10日 07時09分39秒)

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