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カテゴリ:個別銘柄
一部データを誤って消してしまい、最近の分析ファイルが消えてしまいました(泣)。 そしてエーワン精密も分析やり直しとなりました。ついでに分析ファイル(EXCELです)も使い勝手を考慮して新たに作り直してみたため、更新間隔が開いてしまいました。 何はともあれ、エーワン精密の分析を始めます。 エーワン精密は売上高20億円強の小さな会社で、コレットチャックの製造販売を主力業務としています。 コレットチャックとは切削工具を固定する治具のことですね。最近はその切削工具自体の製造や再研磨も行っています。 P/Lの推移 99年と02年に売り上げが落ち込んでいます。その他の年を見ても爆発的に上昇した年はありませんね。 事業規模が小さい割には成長してませんね。これでコレットチャックはトップシェアとのことですから、ニッチな分野ということなのでしょう。 今回は10年分の財務諸表が手に入りましたが、エーワン精密のホームページにあるでは、もっと長期の売上高推移のグラフを見ることができます。残念ながら数値までは載っていませんが、これをみると売上げは上がったり下がったりですね。 会社の説明によると売上は機械受注に連動しているそうで、実際決算説明資料の中のグラフでも素晴らしいほどの一致をしていることが見て取れます。 一応現在のところ、5期連続増収達成で、四季報でも来季までは増収予想ですが、景気が悪くなると減収もあり得ることを念頭に置くべきでしょうね。 ちなみに売上高、営業利益、経常利益を並べて描くとこんな感じです。 利益も売上高と同様な推移をしていますね。 というか、利益の棒が何だかとても高いことに気づくでしょうか。そうです、エーワン精密の経常利益率はずっと35%以上という驚異的な数値をキープしているのです。 表にない91年6月期からずっとこの利益率をキープしているのは特筆すべきでしょう(決算説明資料より)。 営業利益率をもう少し詳しく見てみると、 粗利益率が50%以上と付加価値の高い製品を作っているようですね。 コレットチャックなんてどこの会社の製品でも同じだと思っていたのですが、ひょっとしたら世の中には意外と特殊な形状の工具が多く、専用のコレットチャックが必要になるのかもしれませんね。この辺は会社側のコメントを聞きたいところですね。 02年6月期に売上げダウンがあり、そこで粗利益率下降と販管費率上昇が起こりました。売上げの方はその翌年から徐々に回復し、01年6月期以前のレベルを超してきましたが、粗利益率と販管費率はそれ以前(01年6月期以前)のレベルまで戻りきっていませんね。要因はわかりません。 営業利益率と経常利益率を並べてみると、 ここ2年は経常利益率が営業利益率を結構上回るようになっています。 元々無借金経営の会社な上に、あとでB/S分析のところでも述べますが、最近2年は余ったキャッシュを投資有価証券の購入へ振り分けていますから、金融収支が大きくプラスになっていることが要因です。 インデックスファンドなどを購入しているみたいですが、そういう投資先の選択は株主にまかせて、キャッシュが余っているなら自社株買いをしたり配当を増やすのが筋というものでしょう。経営陣が資本政策についてはあまり戦略的ではないような気がします。
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10年も前の記事にコメントするのもなんですが、私は仕事でエーワン精密のチャックやブッシュを使ってる作業者です。
記事中には「工具を固定する」とありますが、チャックは工具ではなくNC旋盤で加工する 円柱形の素材を固定するモノです。素材径ごとに1mm単位で何十〜百種類と揃えないと仕事ができず、 特殊なモノを作る時には0.1mm単位の径で指定して特注したりするために、エーワンのように 短納期で他社と比べても高くない単価で販売している会社は余りない為に儲かっているのだと思います。 笑い話ですが、エーワンではないチャックメーカーに特注したところ、届いたチャックには エーワンのマークが入っていた、ということもあるようです。自社で作るよりエーワンに発注したものを 納めた方が安上がりになるということのようです(笑 ちなみに、チャックは損傷することはあまりないのですが、主軸移動型旋盤という非主流の形式の旋盤では チャックと対になって使用するブッシュという材料を保持するパーツもあり、こちらは焼き付きなどを 起こしやすい為、割と消耗品になります。そして、ブッシュがダメになると造る製品の精度は出なくなる為に、 短納期で納品できるエーワンのような会社に発注するということになり、エーワンは儲かるという仕組みですね。 (2017.11.20 21:36:31) |