さっき読み終わりました。
テーマは様々な方の「死」。
事件や事故で亡くなった人、病気で亡くなった人・・さまざまな死に方をし、やがて忘れ去られてゆく人たちを静かに“悼む人”・静人(しずと)。
エログロ記事を書く週刊誌記者、通称“エグノ”こと蒔野は、静人を追う内に心の変化が・・。
登場人物はこの2人だけではないんですが、末期がんを患っている静人の母親や、新しい命を宿した彼の妹のことなどが、同時進行で、それぞれの人物の視点で描かれています。そしてもう1人、夫殺しの罪を犯した女の視点からも。
タイトル通り、作品の内容は事件・事故で亡くなった人の死を悼む静人を中心に回っていきます。
静人は、「亡くなった方がどんな風に、どんな方に愛されていたか」というのを近所の人や家族に聞いて回り、その人の死を悼む旅をしています。彼が旅に出た理由は終盤辺りで明らかになりますが、彼の死に対して静かに悼むという姿勢に少し感動しました。
全く無関係の、赤の他人だけど、死んだ人を忘れないように静かに悼む。
周りの人間から見たら「偽善的だ」とか、「気持ち悪い」としか言いようがないですが、死んだ人はいずれは忘れ去られてしまう。たとえ大きな事故や事件、災害で死んだ人でも。
静人の母親・巡子の視点で描かれたところでは、彼女の両親や兄の死や、巡子の夫・鷹彦の壮絶な体験などがゆっくりと、静かに書かれています。
テーマが重すぎて、読後感はすっきりするというよりも、胸が少し温かくなります。
死というものは必ず誰にでもやってくるもので、それはいつ起きるかわからない。
だから、生きることは大事、生きる日々を大切にしなければならない、というメッセージが込められているように思えました。
あくまでわたしの個人的な感想ですが。