セシャンは妻・エリスと昼頃までさんざん愛し合った後、酷使した腰を擦りながら出仕した。
「セシャン、久しぶり。」
「お久しぶりです、アレク様。」
「その様子だと、奥さんと随分お楽しみだったようだね。」
アレクはそう言ってセシャンを見た。
「アレク様は最近ユリノ様とはどうなんですか?」
「ユリノは最近、塞ぎ込むことが多くてね。ショウ様がお亡くなりになったりと、辛い事が色々とあったからね。」
アレクはそう言って溜息を吐いた。
ユリノの双子の妹・カヤノが謎の死を遂げてから1年も経たぬ内に、カヤノの兄・ショウが狩りの最中に流れ弾に当たり死亡したという報せがユリノの元に届いたのは、ほんの数時間前のことだった。
「そうですか。それよりも南部の方はまた色々と物騒だとか。」
「ああ。全く、この国は一体どうなってしまうんだろう。」
アレクは再び溜息を吐くと、中庭で元気良く遊ぶ子ども達を見た。
「アレク様は南部にいらしていたのでしょう? そこで変わったことなどはありませんでしたか?」
「そういえば、向こうで変な団体に会ったな。」
「変な団体?」
「ああ、もしかしたらその団体が色々と騒動を起こしているのかもしれない。」
「そうですか。これから気をつけないといけませんね。」
「そうだね。」
アレクとセシャンは中庭へと向かい、束の間の安らぎを感じていた。
「もしまた戦が起きたら、あの子達はどうなるんだろう?」
「戦だけは絶対に避けなければなりません。その為には・・」
「アレク様、こちらにおいででしたか! 至急謁見の間においで下さいませ!」
「セシャン、行こう。」
「はい。」
謁見の間に2人が入ると、そこには苛立った表情を浮かべているシェーラがじろりと貴族達を睨んでいた。
「アレク、セシャン、来たな。」
「どうなさいました、陛下?」
「どうしたもこうしたもないわ! 南部の連中がリシャムに向けて進軍しておると、さっき報告があった。」
「そんな、まさか・・」
セシャンは思わずアレクと顔を見合わせた。
「そのまさかだ。戦の準備をしなければならぬ。アレク、セシャン、お前達も準備せよ。」
「はっ!」
戦の影が刻々と、リシャムに近づきつつあった。
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