「エリス様、大変です!敵が、城内に・・」
兵士がその先をエリスに報告する前に、彼は敵の矢を受け絶命した。
「エリスが居たぞ!」
「殺せ!」
敵兵達は血に飢えた目でエリス達を睨みつけると、一斉に銃剣の刃先を彼女達に向けた。
「ひぃぃ!」
「誰か来てぇ!」
女官達が悲鳴を上げながら部屋から出て行こうとするのを目ざとく見つけた彼らは、躊躇いなく彼女達を刺し殺した。
「エリス、覚悟しろ!」
エリスは敵兵達を睨みつけると、彼らに刃を向け、間髪入れずに敵兵の一人の頚動脈を切り裂いた。
「クソ、やりやがったな!」
女だと侮っていた敵兵達は目の前で仲間を殺され、エリスに襲い掛かった。
エリスは必死に応戦したが、多勢に無勢で、彼女はあっという間に劣勢に立たされてしまった。
「女の癖に、俺達に逆らうからだ!」
兵士の一人がそう言って、エリスの頬を叩いた。
「この女、どうする?」
「ヤッちまおうぜ。」
男達が下卑た笑みを浮かべながらエリスを眺めていると、部屋に誰かが入ってくる気配がした。
「お前達、その女はわたしの獲物だ、手を出すな。」
「ユリシス様、しかし・・」
「同じ事を二度も言わせるな、殺されたいのか?」
ユリシスに睨まれた兵士達は、一目散にそこから逃げ出した。
「さてと、邪魔者は居なくなったところだし、これで目障りな君をゆっくりと殺すことが出来る。」
ユリシスがゾッとするような笑みを浮かべながらエリスに迫ろうとすると、彼の背後で銃声がした。
「ユリノ様、何故・・」
ユリシスは驚愕と絶望が綯い交ぜになった顔で拳銃を構えているシンを見た。
「わたくしは、あなたのことなど最初から信じていなかったわ。」
シンはそう言ってユリシスに微笑むと、二発目の銃弾を彼の額に撃ち込んだ。
「エリス、お久しぶりね。」
「ユリノ様・・」
「もう邪魔者は居なくなったから、あなたと漸く本気で戦えるわね。」
そう言ってエリスに微笑んだシンは、女神のように神々しい輝きを全身から放っていた。
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