クリスマスムードが街中に溢れている12月初旬、歳三と千尋は結婚式場であるホテルのチャペルを見学しに来ていた。
「ようこそいらっしゃいました、土方様。」
歳三と千尋がウェディングサロンに入ると、店員が笑顔で二人の方に近づいてきた。
「ドレスの試着をしたいのですけれど・・」
「どうぞ、こちらへ。」
店員とともにドレスルームへと向かった千尋は、様々なデザインのドレスを見て目を丸くした。
「ご希望のドレスをお選びください。」
「はい。」
千尋がドレスルームでドレスを選んでいる頃、歳三はウェディングサロンの応接室で結婚式のプランを立てていた。
「お色直しは、どうされますか?」
「やっぱり、紋付袴と白無垢でお願いします。」
「かしこまりました。」
「何だか、色々と準備する事があって大変だなぁ。」
「わたくしどもが全力でサポートさせていただきます。」
ウェディングプランナーとの打ち合わせを終えた歳三は、ドレスルームへと向かった。
「どうですか?」
「綺麗だな。」
プリンセススタイルのドレスを纏った千尋は、まるで天から舞い降りた天使のようだった。
「このドレスでいいです。」
「そうか。なぁ千尋、お色直しはどうする?」
「白無垢がいいです。」
その日は結婚式と披露宴の衣装を決めたり、プランを決めたりと歳三と千尋は何かと忙しかった。
「少し疲れたな。」
「ええ・・」
歳三とウェディングサロンから出た千尋は、突然めまいに襲われた。
「大丈夫か?」
「少し疲れが溜まってしまっているだけです。」
「そうか。」
この日から千尋が感じ始めていためまいや倦怠感を、彼は単なる風邪だと思い込んで病院にもいかずに放置していた。
「千尋様、少し休まれた方がよろしいのではありませんか?」
「大丈夫です。」
学校が冬期休暇に入り、寒さが厳しくなりつつある12月中旬のある日のことだった。
その日、千尋はいつものように華道教室で稽古を受けていた。
「先生、来年も宜しくお願いいたします。」
「千尋さん、良いお年を。」
稽古の後、千尋が華道の先生に向かって挨拶して退室しようとしたとき、彼は突然呼吸困難に陥った。
「千尋さん、どうしました?」
「息が出来ない・・」
「誰か、救急車を呼んで!」
歳三は千尋が華道教室で倒れたことを聞き、彼が運ばれた病院に向かった。
「千尋は!?」
「トシ、わたし達にもわからないの。」
「どうしてこんなことが・・」
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