虫けらの狂気
親のせいだ 会社のせいだ 世の中が悪い思いの丈をぶつけるにはケイタイしかなかった面だって伝える勇気などなかった葉の先でうごめく毛虫だった液晶に重ねた稚拙なメッセージは彼の意識を高揚させた誰も咎めるものもない頭を押さえつける奴もいない依存は彼の狂気を寄生させた自分が殴られた事はあっても他人を殴る事はなかった拳の痛みなど知る術もなかろうすべては画面の中の出来事人を傷つける事も殺める事さえも現実に流れる血さえも彼の眼にはフィルターがかけられていた罪を突付けられたとて彼にはもはや他人事だった誰かのせいにして正当化するのが人の心を失くした虫けらのせめての抵抗やがて彼は狂気の所為にするであろう