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カテゴリ:歴史その他
ひょいと思い出したが、今日は恐れ多くも畏くも 「建国記念日」 であった。調べてみたら、この日が政令で 「建国記念日」 として定められたのは、すでに41年も前のことである。 もっと正確に言うならば、「国民の祝日に関する法律」 で、「建国をしのび、国を愛する心を養う」 日として、「建国記念の日」 なるものが定められたのが42年前であり、その日が当時の佐藤内閣の政令によって2月11日とされたのが翌年、すなわち今から41年前ということである。 いうまでもなく、この日は戦前には 「紀元節」 と呼ばれていた日なのだが、今を去ること2600有余年前に、かの神武天皇すなわちカムヤマトイワレヒコノミコト、別名ハツクニシラススメラミコトが、日向の国の高千穂から始まった東征の末に、奈良の橿原宮で即位したという、由緒あるありがたい日なのである。 また、たった一本の釣り針をめぐって、壮絶な兄弟げんかを繰り広げた山幸彦と海幸彦は、それぞれ神武天皇の祖父と大叔父にあたる。この山幸彦ことホオリノミコトが、海でなくした兄の釣り針を見つけてくれた海神の娘と結婚して生れたのが、神武天皇の父ということになる。 ただ、この兄弟、どう読んでも、天から降りてきた神様の孫というより、ただの海山の狩人としか読めないのだが、それはご愛嬌というものだろう。ちなみに、この祖父である山幸彦ことホオリノミコトは、なんと580歳まで生きたというから驚きである。 なお、神武天皇は137年生きたのだそうだ。旧約聖書の 「創世記」 によれば、箱舟の話で有名なノアは950年も生きたそうだし、神に自分の息子を生贄に差し出せという無理難題を言われたアブラハムは、175年生きたのだそうだ。まさに、両者、甲乙付けがたしというところである。 むろん、神話とか伝説とかいったものはどこの国にも民族にもあり、それはそれでよいのだが、もしも、外国の人に 「建国記念日」 の由来と根拠について尋ねられたら、いったいどのように説明したらいいのだろうか。これは、けっこう難しいだろう。やっぱり、日本は最先端の近代と神話的な古代とが同居した、世界にも珍しいアニミズム国家なのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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「神話」を「神『話』」として、古代の人たちがそのオハナシに何かを託そうとして創り上げたもの、程度で止めておけばいいんですが、ホントにあったこととして捉えるような「原理主義者」がいるのは困った事です。「進化論を教えるな」とか。
こないだ「母べえ」を見てきたのですが、町内会の集まりで、いざ「宮城遥拝」をしようという時に、「今、葉山の御用邸にいらっしゃるから葉山のほうに向かって遥拝すべきだ」「いや、『宮城遥拝』なんだからあくまで宮城のほうに」と真面目なやりとりがありましたが、これが今の時点から見るとおかしくて、馬鹿馬鹿しくて仕方がない。 60年ちょっと前までこんなことを真剣にやっていて、原発の起工式のときにも地鎮祭をやるんだから、なんとも。 神仏混交どころではありませんね。 外国から来た人に、日本の歴史は、紀元前660年から始まるのでーす・・・と説明するとどんな反応をしますかね。 (2008.02.11 22:14:27)
多くの反対がある中で、私が高校生だった頃に決まったと記憶しています。
「抗議の同盟登校」が呼びかけられたり、「建国記念の日」の意義について語る校長の全校放送を阻止しようとする動きがありました。 「の」がついたのも、当時の反対運動への一定の「配慮」の結果でした。 よく「祝祭日」といいますが、現在の法律では、「祝日」はあっても「祭日」はありません。 「日本国憲法」は「祭日」を許さなかったということです。 それでも、誰も気にせず「祭日」と呼んでいるようです。 (2008.02.11 23:00:38)
まろ0301さん
神話論としては、旧約説話やギリシア神話などと比較してもなかなか面白いですね。記紀の伝承によれば、天皇家は天の神と海の神の両方の血を引いていることになるわけで、そこに地上の支配者としての正統性が謳われているということになるのでしょう。そこには、たぶん各地の豪族との婚姻関係による支配の拡大ということが読み取れるでしょうね。 しかし、伝承はともかくとしても、暦年などはほとんどが明治になって適当に当てはめたものに過ぎません。これは、近代天皇制がそれまでの天皇制と大きく異なることを如実に物語っているのですが、昨今の復古主義者らはあまり触れたくないところなのでしょう。 (2008.02.11 23:03:16)
とりがら2001さん
時期的には、ちょうど明治100年と言われたころと重なりますね。肝心の日にちを法律ではなく政令で定めたというのも、おかしな話です。 ちなみに http://blog.livedoor.jp/gegenga/archives/51302508.html での紹介ですが、かの八木秀次氏は例によって例の如くのことを言っております。 http://sankei.jp.msn.com/life/education/080208/edc0802080317000-n1.htm (2008.02.11 23:11:58)
かつ7416さん
>とりがら2001さん >時期的には、ちょうど明治100年と言われたころと重なりますね。肝心の日にちを法律ではなく政令で定めたというのも、おかしな話です。 > 法律で「神武」なんてことを書くわけにいかないから「政令」なんでしょうが、 ついでに「ハッピーマンデー」に加えてもらうと、スキーに行きやすいんですが… なんてことを。 (2008.02.13 23:11:31)
goldberg2006さん
今年は、たまたま土曜から続けての3連休でしたね。 一般的な意識としては、数ある祝日(休日)の1つでしかないのでしょう。 八木センセーによれば、神武天皇の即位から始まる「公共の精神」というのが、「建国の精神」なのだそうです。 いまや、この人「蓑田胸喜」化しております。 (2008.02.14 00:19:54) |