30代女性、左上7、クラウンの2次カリエス。
型取りや技工の段階で不適合があったり、
接着の不良もあったかもしれません。
人間のすることですから、
完璧ということは期待しない方がよいのです。
除去したクラウンの内面には広範囲にセメントが効いていない部分があります。
黒いFeSが沈着している部分です。
隙間があっても硫酸塩代謝系の嫌気性細菌が生息する程度の環境ならそれほど虫歯は進行しません。
虫歯部分をショルダーに形成していくと虫歯が見えてきます。
酸産生系の通性嫌気性または好気性細菌が生息しはじめると
虫歯は急速に進行し始めます。
ただし、単に歯が酸に溶けたものが虫歯というわけではなく、
歯の内外に局部電池の形成など何らかの起電力が発生すれば、
歯の内部に水素イオンが伝導し、
水素イオンが通過した表面でイオン化傾向がより大きいカルシウムから電子を奪い水素ガスになり、
電子を奪われたカルシウムがイオンとなって溶出するのが虫歯だと考えています。
この場合の起電力とは、歯と歯科用金属間を両電極とする局部電池、
隙間の内部と外部を両電極とする通気差電池が考えられます。
歯肉縁下まで虫歯が進行していました。
なんとか虫歯を除去できましたので、
このまま型取りをしてクラウンの再作製をします。