50代女性、左上56、残根
前回のつづき
https://plaza.rakuten.co.jp/mabo400dc/diary/202303260001/
今日は実際に抜歯再植の過程だ。
鏡像
遠心根が遊離している。CRコア部分から折れているが、
CRコアが折れても、歯質は内部に残ったCRで守られている。弱い歯にはポストを入れない方が長期的にはベターだ。
長期間に渡る咬合力や瞬時にかかる咬合力で大事な歯質が壊れる前にCRコアが先に壊れるので、いきなり歯根が破折したり、ポストが抜けたりして歯質に対するダメージは回避される。
これを工業分野では fail safe と呼んでいる。問題が起こった時に全体に及ぶ損害を最小限に抑えるシステムのことだ。残念ながら歯科業界では全く考えられていない。今だけ、金だけ、自分だけの精神だ。
遠心根は残せそうだったので、CRでつないでみた。
抜歯が必要な6番の近心根と口蓋根と5番を切り離した。
6番の近心根と口蓋根はすでに抜けていたので、ぽろっと取れた。出血もしない。
抜けた6番の近心根は7年前に抜歯再植したのだが、根尖口を埋めていたスーパーボンド周りの歯質が吸収されている。人間の免疫系が自身の歯根を異物とみなして排除する機転が働いているということで、歯根表面が細菌等でひどく汚れていたということを示している。
これが7年前の根尖口とそれを埋めた時のbefore/after だ。
特にスーパーボンドが飛び出しているということもないことが分かると思う。
before
after
つづく