40代女性、左上6、ハイブリッドクラウン破折、2次カリエス
このところの世界情勢の緊迫化により歯科用金属の金、銀、パラジウムの高騰が著しい。
そこでハイブリッドセラミックスブロックを機械による削り出しで作るCAD/CAM冠が保険導入されつつある。
折りからの歯科技工士も少子高齢化の煽りを受けまた長時間労働を強いられることもあり激減し、需要を満たせない状況に突入しているのも大きな原因だ。
問題点は脱離しやすい破折しやすいという点にあり特に外傷性咬合のある方は長持ちしない。
その理由は切削機械の最小切削半径は0.5mm要するに直径1mmのダイアモンドバーで切削しているので、薄いワークや角があるワークは加工が難しいので、クラウンのマージンは
ディープシャンファーにしかできないからだ。機械加工しやすいように支台歯の表面は滑らかで丸くないとならない。これは脱離を招きやすい。セラミックス系はまだマシだが、レジン系は撓むので厳しい。
また欠点としては強度を確保するために厚さが必要で、歯質の切削量が大きくなる。削ると痛いので便宜的に神経を取らざるを得ないことになりやすい。
今後はトラブル続出するだろう。
マージン付近は早期に脱離し隙間から隙間腐食が起こり2次カリエスが進行する。
2次カリエスを除去すると歯肉縁下まで虫歯で健全歯質は失われている。
患者は金属と違って白い歯で嬉しいと思うかもしれないが、残念ながら歯を失うことになる。
この症例も通常治療では保存を諦める歯科医師は多いと思われ、どこでもここと同じ治療は受けられない。
歯肉縁下というだけで抜歯の対象となる。
ここではピンレッジドCRコアを採用しているが、これが抜歯寸前に追い込まれた歯の唯一の長期保存が可能になる方法だ。
つづく