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カテゴリ:民事執行保全法
第2章 債権執行 4 転付命令 今まで,債権執行のお話をしてきましたが,全て債権(=人に「お金等を支払え」と言える権利)を直接取り立てる制度を前提にしてきました。」 しかし,もっと他の手段は無いものでしょうか。 そこで,「転付命令」と言う言葉をお聞きになったことはありませんか? 実は,この「転付命令」も債権執行の一つなのです。 転付命令とは,お金の替わりに債権そのものを受け取って支払を受けたことにする制度です。 いわば,債権を代物弁済として受け取る制度です。 (転付命令) 第百五十九条 執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で差し押さえられた金銭債権を差押債権者に転付する命令(以下「転付命令」という。)を発することができる。 (以下省略) (転付命令の効力) 第百六十条 差押命令及び転付命令が確定した場合においては、差押債権者の債権及び執行費用は、転付命令に係る金銭債権が存する限り、その券面額で、転付命令が第三債務者に送達された時に弁済されたものとみなす。 例えば,今までの例のように,あなたが清水君に1000万円を貸していて,清水君が三島さんに800万円を貸していたとします。 ここで,あなたが直接800万円を三島さんから取り立てるのが前回までの債権執行です。 そうではなく,あなたが800万円の債権を,債権のまま受け取るのが転付命令です。 この場合,あなたは三島さんに対して800万円を請求し,清水君には残り200万円しか請求できなくなります。 万一,三島さんが破産しても,清水君に「800万円をとりはぐれたから,800万円返せ」ということは出来ません。 そうなると,一体何のために転付命令があるのかとお考えでしょう。 転付命令の利点は,現金のやり取りをせず,安全と言う点にあります。 ただし、とりはぐれのリスクを抑える為,転付命令は銀行預金など,とりはぐれが起きにくい場合に用いられることが多いと聞きます。 例えば,あなたが清水君に1000万円を貸していて,清水君が○○銀行に800万円の預金をしていたとします。この場合も,清水君は○○銀行にお金を貸しているのと同じですから,清水君は○○銀行に800万円の債権があることになります。 そして,銀行が破産することなど考えにくいですから,あなたは○○銀行から直接取り立てるのではなく,転付命令を受けても良いということになります。 以上が転付命令のお話です。 応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。 ※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。 【参考本】 民事手続法入門第2版 この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。 ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年10月28日 01時30分18秒
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