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2015年02月21日
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オサマ・ビンラディン アフガンの荒野から孤独の荒野へ


ロバート・フィスク著      
安濃一樹訳


 自分の席に戻ったとき、ビンラディンは事務的な口調になっていた。彼はサウジアラビアの米軍基地を再び攻撃すると、アメリカ政府に対して警告を発した。「われわれの軍事攻撃はまだ始まったばかりだ」という。「アメリカ人に戦いを挑む上で、もはや何のためらいもない。・・・過去一四世紀に渡って、異教徒の軍勢が二つの聖堂を占拠したことはなかった・・・」。アメリカ人は石油を支配するために湾岸に進出してきた、と彼は主張した。中東の近代史がそれを証明しているという。
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 「ブレジネフが、アフガニスタンを横断してホルムズ海峡に到達しようとしたのも、石油の支配を目的としていたからだ。しかし、アラーの慈悲と聖戦の前に、ブレジネフはアフガニスタンで敗北した。そればかりか、彼の政権そのものが、ここアフガニスタンで崩壊していった。
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 「われわれが初めて銃を手にしてから一〇年が経った。イスラム世界の若者たちは、命のある限り武器を手放さない決意でいる。
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 「アメリカ人を突き動かしているものは他にいくつもある。石油が直接の動機ではない。湾岸を占領しなくても、アメリカ人は石油を安価に仕入れることができた。湾岸を占領する最大の理由は、アメリカ人とユダヤ人の同盟関係にある。
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 「この同盟は、イスラムの力を、メッカとメディナの聖なる力を恐れて止まない。復活したイスラム勢力がイスラエルを滅ぼすことを恐れている。われわれは、パレスチナ[パレスチナを占領したイスラエル]のユダヤ人を皆殺しにするだろう。
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 「われわれは、アラーの守護のもとに、米軍を打ち破る日がくると信じている。あとは時間の問題だ。アメリカ人はサウジアラビアとイラクを守るという。でたらめだ。アメリカ人は、サダムの問題を自分の計略に利用しているだけだ」
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 彼の言葉から、まったく新しい傾向が見えてきた。アラブのナショナリストなら誰でもイスラエルを批判する。イスラムの聖戦に身を投じている男なら、なおさらのことだ。しかし、ビンラディンはイスラエルとアメリカをひとつの国のように考えていた。彼は後でこう言った。「われわれにとって、アメリカ政府とイスラエル政府に違いなどない。アメリカ兵もイスラエル兵もみんな同じだ」。そして、イスラエル兵よりも、むしろユダヤ人が自分の標的だという。「十字軍の国々」に住むすべての西洋人が彼の標的となるのはいつだろうか。
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 リヤドアルコバールの攻撃は自分が指揮したものではないとしながら、ビンラディンは爆弾を仕掛けた犯人と特定された四人の男たちを讃えていた。そのうちの二人には会ったことがあるという。「爆撃攻撃を実行した四人に敬意を表したい」と彼は語った。「偉大な行為であり、大きな栄誉でもあります。攻撃に加わることができなかったのが悔やまれます」
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 同時にビンラディンは、彼の戦いに賛同する人びとがパキスタンで運動を展開していることを自慢していた。新聞の切り抜きを取り出した。パキスタン人の聖職者たちが信者への説教で、アメリカのサウジアラビア進駐を非難していることを報道する記事だった。それから、カラチで撮られた写真を私に手渡した。壁にスプレー缶でペンキを吹きつけた落書きの写真だった。
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 ひとつは赤いペンキで書かれている。「米軍、湾岸から出て行け。ウレマー戦闘同盟」。もうひとつは茶色のペンキで記されていた。「アメリカはムスリム世界の最大の敵だ」。ビンラディンは大きなポスターも見せてくれた。やはり落書きと似た筆跡で、同じような反米感情を吐露していた。パキスタン、ラホール市の宗教学者マウラウィたちが作ったものだった。「イスラムの国々はみんな私の祖国です」と彼はいった。
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 暴虐の限りを尽くす政権を建てたタリバンに関しては、ビンラディンも割り切って考えるしかない。「タリバンがイスラムのシャリア法を布告したのは、誠実な動機に基づいたものだったと信じています。アフガニスタンは実に酷いありさまだった。タリバンが来てから、見違えるように改善されました」
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岩波『世界』誌、〇五年一二月号掲載。
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Extracted from The Great War for Civilisation: the Conquest of the Middle East by Robert Fisk.
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ロバート・フィスク。英『インディペンデント』紙中東特派員。ベイルート在住。北アイルランド紛争、イスラエルのレバノン侵攻、イラン革命、イラン・イラク戦争、ソ連のアフガン侵攻、湾岸戦争、ボスニア戦争、アルジェリア内戦、NATO軍のユーゴ空爆、イラク戦争などを取材。著書にPity the Nation: Lebanon at War (1990.1992)など。最新刊にThe Great War for Civilization: The Conquest of the Middle East がある。
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写真はロバート・フィスク。







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最終更新日  2015年02月23日 14時59分02秒
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