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カテゴリ:クラシック音楽_ピアノ関連
●シューマンの好悪の試金石
クララとの結婚の年を境に、シューマンは歌曲を創作の中心に置くようになり、ピアノ曲はほとんど書かなくなった。 ピアニストのコルトーの講演によれば、これはクララがシューマンのピアノ曲の真の価値をほとんど理解出来なかったことが原因らしい。 クララの演奏はとてもアカデミックで冷たいものだったというのが、定説になっている。しかし、レコードもCDも世の中に存在しない時代の話だから、確かめようもない。 実際、クララが好んだシューマンのピアノ曲はごくわずかだったらしい。 それは、「謝肉祭」とシューマンの最高傑作「幻想曲」。 ただし「幻想曲」は第2楽章しか理解できなかったと言われている。 シューマン好きなら、どうしてと思われるだろう。「幻想曲」の第1、第3楽章はロマン派のピアノ曲の中でも屈指の出来映えの曲のはず。それを理解できないなんて‥‥。 実は、私はシューマンのピアノ曲の中で、「謝肉祭」はほとんど聴かないし、「幻想曲」の第2楽は余り好きではない。 素人なので音楽理論的にはわかならいが、聞こえてくる響きがどうもシューマンらしくないのだ。あまりにもメロディが立ちすぎているようにきこえる。 「謝肉祭」は、確かに派手でピアニストとしては演奏しがいがありそうだが、どうも音楽として単純で薄っぺらい感じがする。 「幻想曲」も、第1楽章や第3楽章のシューマン独特の幻想的な雰囲気にくらべ、第2楽章はあまりにもメロディアスだ。 《シューマンが本当に好きなら、「謝肉祭」はあまり評価しないだろう。》 というのが、独断と偏見による私の個人的意見。 さて、あなたはシューマンの「謝肉祭」はお好きですか? ◆◆私のお薦め◆◆------------------------------------------ 1.「子供のためのアルバム」op.68~第38曲 冬の季節1/第37曲 水夫の歌 2.謝肉祭op.9「子供のためのアルバム」op.68~第39曲 冬の季節2 ★演奏:アルトゥール・ベネデッティ・ミケランジェリ(ピアノ) ---「謝肉祭」の名盤としては、他にルーヴィンシュタイン盤、シュケナージ盤などがある。どちらも持ってはいるが、やはりこのミケランジェリの演奏はスゴい。 ミケランジェリは、謝肉祭の前に「子供のためのアルバム」から1曲、そして間に2曲挿入する形で録音している。(意図は不明) ----------------------------------------------------------- 1.ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番ニ短調op.31-2「テンペスト」 2.シューマン:幻想曲ハ長調op.17 ★演奏:スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ) ----リヒテルのシューマンは、「幻想小曲集」「交響的練習曲」など名盤が多いが、この「幻想曲」はすべてのリヒテルの録音の中でも屈指の名演だと思う。特に第3楽章は一度聴いたらリヒテルのシューマンの虜になるはず。もちろん「テンペスト」もすばらしい。 リヒテルは苦手という人には、ブレンデル盤がお薦め。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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