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テーマ:映画館で観た映画(8350)
カテゴリ:映画・DVD
鑑賞券が当たったので、と一緒に観ることに。
前回、一緒に観たのはコレだし、60代の夫婦のようである。 最初にこの作品を知ったのは、まだ撮影中だったのだと思うけれど、きみまろさんが出てくる短い予告編だったっけ。 『まぼろしの邪馬台国』 なにがどう「まぼろし」なのかと思ったら、そういうタイトルの本があって。 原作というか、この本を書いた実在の人物が主人公。 昭和40年代、この本の出版により、それまで学界でしか論じられていなかった邪馬台国を一般人の興味の対象とした宮崎康平と、彼を支えた妻和子の物語。 目が見えないことも、子供を二人残して先妻に逃げられたことも、社長職を解かれて収入がなくなったことも何のその。 ひたすら自分の夢を追い続ける康平を竹中直人が魅力的に演じている。 こういう性格の人物は、演じる人によっては「ヤナヤツ」になってしまうし、実際にそばにいたら迷惑に違いないのだけれど、竹中さんが演じることで、吸引力のある個性が際立っていた。 我儘で癇癪持ち、どうみても「ぶっ飛んでいる」彼を心身両面で支え続け、連れ子の面倒を見ることから生活費の工面までする気丈な和子を、吉永小百合が演じている。 和子がプロポーズされて、それを受けるのは、順風満帆な時ではない。 それでも、彼女が彼の元に残ることを決意したのは、当然のことと思えた。 そんな状態でプロポーズする方もする方だし、受ける方も受ける方だ。 あのシーンは「運命共同体」となることが決定した、印象に残るシーンだった 二人はなかなか良い取り合わせだったと思うし、脇を固める面々も、それぞれ悪くなかった。 夫婦愛の物語ともいえるけれど、ロマンティックではないし、かといって鼻につくほど「妻が自分を犠牲にして、ひたすら尽くし支える」わけではない。 だから、苛々せずに見られたのかな。(尽くし系は苦手、自分と遠すぎて) 脚色はしていると思うけれど、大袈裟ではなく自然で、「ちょっとした人物伝」のような描かれ方だった。 邪馬台国の場所を探して、九州を旅する姿が描かれ、九州の自然が拝めるが、全体としてのダイナミックさはない。 地味な話の割に飽きずに見られるのは、物語にブレがなく、脇役のキャラクターもわかりやすく、大小のエピソードが巧く積み重なっているからだろう。 ただ、オープニングと、途中の「邪馬台国幻想シーン」は、「これってどうなの?」だったけれど 有名な「島原の子守唄」を作ったのが、主人公だということも初めて知ったし、島原観光バスの起こりとか、バナナ園の起こりも知ることができて、地域史の勉強にもなったかな。 そもそも、彼の研究がなかったら、邪馬台国がここまで注目されることもなく、畿内説とか九州説以前の問題で、金印とか吉野ヶ里遺跡だって、まだ発掘されていなかったかも。 夫婦の話として観るのも良いけれど、人物伝として「その時、歴史は動いた」的に観るのも良いかと。 日本の歴史好きさんに特にお薦め お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Nov 25, 2008 01:21:24 PM
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