マッチョイズムでなくマザーシップ
「男の強さはマッチョイズムではなく、マザーシップである」 太宰治の言葉です。 それを僕は部長に教えてもらったので又聞です(笑)。つまり、見かけの強さではなく、あったかさこそが男が持つべき強さだということだと思います。 これと全く同じことを言った人がいます。20年間無敗のまま引退した雀鬼・桜井章一さんです。彼の著書はかなり読みましたが、勝負の世界に生きる者にとって、勉強させられることばかりでした。「心温かきは万能なり」は先生の最も有名な言葉の一つで、僕の座右の銘でもあります。 実は神戸製鋼の「Body Of Steel,Heart Of Gold,We Call Them Steelers」にも、同じような意味が含まれているのです。戦う者、最後はここに帰結するのかもしれません。 さて、慶應高校の話。 週末監督が全部員の前で怒ったのは「簡単に怪我でできませんと言うな!」ということ。これは僕も同意見です。高校生と接していて、僕らの頃と一番変わったのはこの辺りかと思います。 「できないは過去形で言え」 つまり、無理と思うことでもまずチャレンジしてみる。そこに自分の殻を破るチャンスがあるのではないでしょうか。ラグビーなんて、もともと理不尽なスポーツなんです。60キロしかない奴が120キロの巨漢にタックルする世界です。 僕も現役時代はかなり無茶しました。まともに歩けないのに「できます」と言って試合に出てみたり、ヘルニアでベンプレ40キロしか挙がらないのに試合出たり(これは止めといた方がいいです!)・・・。「同じことやれ!」とは到底言えませんが、少なくとも、今の高校生はもっとチャレンジして、恥をかいてもいいのでは?と思ってしまいます。 それは、「失敗を取り返すチャンスがない」と彼らが考える土壌があることが原因なのかもしれません。一人一人と話してみると、自分の強味の話しはできても弱味を理解して改善するようチャレンジしている子は少ないです。 僕は全く逆でした(自分の弱味ばかりが気になっていた)から、時代なのか、それとも、たまたまそういう子が多いのか分かりませんが、もっと失敗できて、それを叱ってもらえる文化を先に生まれた人間として作っていくべきだと思っています。 それって、まさしく「あったかさ」が必要なのかな、と思うんです。 自分がたくさん挑戦して、失敗して恥かいて、初めて優しくなれるんちゃうなあ。 教育において「叱る」って、「ケツを拭く」ことと同義語ではないでしょうか?指導者が叱ってくれるから、安心して子どもは無茶苦茶できるのだと思います。ガキの頃は、自分でケツふけない問題だらけじゃないですか。その不安を包むのが、マザーシップ、あったかさなのです。 しっかり伏線の利いた、いい日記ですね(笑)。