PiyotaのWEB上文献セミナー 第4回 天然変性タンパク質の精製法
Obtaining highly purified intrinsically disordered protein by boiling lysis and single step ion exchange.Livernois AM, Hnatchuk DJ, Findlater EE, Graether SP.Anal Biochem. 2009 Sep 1;392(1):70-6. doi: 10.1016/j.ab.2009.05.023.天然変性タンパク質 intrinsically disordered proteins = 二次構造・三時構造を持たないタンパク質これまで構造生物学(X線・NMR)の研究対象はよく構造をとっているものに限られていたが、近年、IDPの生物学的重要性が高まった。NMRでIDPを研究する上で安定同位体標識が必須、大腸菌発現が定法である。問題は分解されやすいこと!今回著者らは植物由来dehydrinタンパク質のNMR試料調製法を開発した。キモは、大腸菌ペレットをボイル処理して、大腸菌由来プロテアーゼを失活沈殿させると同時にIDPを可溶化することである。そののち、陽イオン交換カラムをかけることで、2ステップで高純度のIDP試料を得ることができた。PMID:19464251 詳細イントロダクションデヒドリン(dehydrin)とは植物の乾燥脱水ストレス応答タンパク質9~200KDaの広範な分子量分布典型的な3つのセグメント K- /S- /φ- segment + polar-rich seg.K-segment 15aa (EKKGIMDKIKEKLPG) 両親媒性αへリックス、膜親和性?デヒドリンに必ず存在、高く保存1~11リピートY-segment (V/T)DEYGNP あるとしたらN末端、ない時もある。1~3コピー。機能詳細未知・ヌクレオチド結合モチーフに似てるかも。φ-segment YとKの間にリピートとして存在、(G,P,A,Tリッチ)全体的に親水性アミノ酸に富み、Trp/Cysがない。デヒドリン機能保水・タンパク質保護・膜構造維持酵素の低温失活を保護抗凍結活性(AFP-like)方法発現系pET22b・BL21(DE3)LB培養時 OD 0.7~0.8でIPTG(0.4mM)インダクション→3時間集菌M9培養時。はじめLBで培養し菌体量0.7~0.8ODで5000gx30minで集菌。その後一回washしてM9で再培養、一時間後IPTG、16時間培養して集菌。破砕・精製・ボイル処理50mL / L-cultureの水に懸濁沸騰水に浸す。5分ごとに手動で撹拌、5~30min70,000g x 30minで沈殿除去、更に0.22um フィルター陽イオン交換 HiTrap-FF-SPその他純度確認に逆相HPLC : Waters Symmetry 300 C18 HPLC column (5 μm, 4.6 × 250 mm2) : TFA-MeCN系MALDI-TOF確認AFP活性を測定しているポイントボイル時間の最適化:30minまで単調増加ボイル処理のみで、sonication+Ni2+-IMACと同程度の精製効率M9での発現は悪い:発現中に分解してしまっている可能性はないか?当たり前のことであるがこういう当たり前は重要かもしれない。短いdehydrinにAFP活性はなかった ^^;ここまで調べた感じでは、精製中:精製後のプロテアーゼ分解をケアしている論文はある、が、培養中の分解についてまでケアしている論文は見つけられていない・・・←本当か?おまけ~この論文を引用している論文のうちめぼしいもの A general method of protein purification for recombinant unstructured non-acidic proteinsCampos, Francisco; Guillen, Gabriel; Reyes, Jose L.; et al.PROTEIN EXPRESSION AND PURIFICATION 2011: 80: 1: 47-51 DOI: 10.1016/j.pep.2011.06.007 Cryoprotective mechanism of a small intrinsically disordered dehydrin proteinHughes, Stephanie; Graether, Steffen P.PROTEIN SCIENCE 2011 : 20: 1: 42-50 DOI: 10.1002/pro.534 ↑ この論文によるとcryoprotective活性については、ないわけではないようだ。ブログ村で生命科学系論文紹介のブログを探してみる