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カテゴリ:読書感想
私:今年1月発行の本だね。 日本は今まで、島国のためかあまり厳しい外国の直接の侵略を受けていない歴史から、特殊な性格を持ってきたという見方だね。 特に、奈良、平安時代は、中国の唐などの文化を学び、明治には、欧米を学び、敗戦ではアメリカに学ぶという一方的な外来文化崇拝の歴史を経てきていることをあげている。 そして、今、それらの1つをとりいれるモデルではだめで、世界には多くのモデルがあり、国際交流も激しくなってきたので、外来文化崇拝ではだめで、日本の独自性(アイデンティティ)の確立が必要だという意見だね。 「国家の品格」と似た意見だね。 国際化とは、アメリカナイズすることでなく、日本独自のアイデンティティの明確化でもあるというわけだ。 その中心が日本語だ。 A氏:いろいろな面で日本人は根強い舶来崇拝主義できたからね。 私:欧米がモデルとなる理想な文化を持っているわけでないことをまず、著者はのべているね。 その代表的なものとして、人種差別やそれに基づく残虐な植民地支配を述べているね。 A氏:昨日の日記の欧米の残酷な戦争の姿にそれはあらわれているね。 私:残念ながら、今度の戦争で日本軍がアジアで示した異常な残虐性の説明がないね。 大東亜戦争についても著者は「キリスト教に対する目的で作られた国家神道と伝統的な国民の習俗としての『宗教』は違う」としているが、その国家神道が何故生まれ、アジアで恨まれた原因になったことにはふれていないね。 天皇を頂点とした神の民という国家神道が、日本軍の残虐性の背景にあったのだと思うのだがね。 A氏:そうなると著者は東京裁判を認めないほうだね。 私:アジアに対する残酷な西欧の植民地政策に対する自衛だという考えだね。 しかし、西欧も侵略しているから、こちらも似たことをアジア諸国にしたと見られ手を汚した同志の批判では説得性がないね。 八紘一宇の考えでアジアを統一しようとした新しい押付けとなった面が反抗を買ったね。 志はよい面があったのにね。 韓国の反発を見ればそれが分かる。 それに東南アジアでは食料の強奪と残虐な殺害だ。 日本陸軍の動きのまずさにあまり反省はないようだね。 そのために多くの犬死をだした悔しさもね。 著者はダワーの「敗北を抱きしめて」と「容赦なき戦争」を読んでいるんだろうか。 A氏:著者は、もとは言語学専門だが、日本語についてはどういう意見だね。 私:日本語は欠陥語だというコンプレックスが過去からあることを指摘しているね。 最初は明治維新。 初代文部大臣の森有礼などが日本語を捨て英語にするという考え。 今度の敗戦で文豪の志賀直哉が日本はフランス語にすべきだという考えなどを批判しているね。 A氏:著者がいうように焼け野原から戦後の高度成長を成し遂げ、経済大国を作った世代は、まさにその日本語が盛んなときに育った世代だものね。 日本語にコンプレックスを持つ必要はないのにね。 私:戦後の韓国などは、日本支配で韓国語を失う危機を経験しているから、韓国語を守ることに熱心であったのとは逆だね。 日本語はそういう摩擦経験がないから、自分自身にあまり関心がないのだね。 面白いのは日本語における漢字の役割を「テレビ型言語」と「ラジオ型言語」としていることだね。 A氏:それは「バカの壁」の養老孟司氏のマンガのことと同じだね。 マンガは脳の特別な部分を使っているというのと同じ見方だね。 象形文字と表音文字の一体化だね。 私:だから、カタカナ語の氾濫は反対だね。 この本にはなかったけれど、おそらくメールの絵文字の氾濫も反対だろうね。 日本文化の退廃となることを心配している。 もう一つ、日本人のコンプレックスは体格だ。 A氏:昨日の日記でも日本人の悪口をいうときは「小さい黄色いサル」だからね。 しかし、戦後は大分、日本人の体格もよくなってきたね。 私:この本の結論は「国家の品格」と似ていて、日本の良さを再確認し、それを積極的に生かしていくことが今後の有益な国際的な活動にもつながるとしていることだね。 日本語をもっと世界に広めるべきだという。 日本人は、伝統的な文化を(国家神道でなく)愛するべきだということだね。 もっとも、氏は半ば諦めムードもあり、日本人はやはり大きな犠牲を払って、自分のありがたさを知る運命ではないかと心配しているね。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.09.11 06:34:55
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