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知的漫遊紀行

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Ryu-chan6708

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2006.12.13
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カテゴリ:読書感想

A氏:文芸春秋新年特別号に「成果主義がソニーを破壊した」という記事があった。
 書いているのは、ソニー元上席常務であるということだから、生々しい記事だね。
 ソニーは今年で創業60周年を迎えるというが、かっての創業者井深氏の「仕事の報酬は仕事」という考えが消え、煤にまみれた会社になってしまったという。

その原因が1955年頃から始まった成果主義としているね
 外部のコンサルタントの指導で行われたんだね。
 成果主義は、正社員の人件費の削減が最終目標だね
 技術者の内側から自然にこみあげてくる衝動から生まれる技術者の「燃える集団」が消えた。
 おカネが欲しい、出世したい、名誉が欲しいという外部の報酬を求める心に変わってしまった。

A氏:個々の査定だけでなく、事業部全体の評価で報酬を決める。
 だから、事業部間の溝は拡大し、お互いの連携がなくなった。

私:実はアメリカでは成果主義に対して、内的な向上動機を重視した「フロー理論」というのがあり、その中心人物であるチクセントミハイ教授の講演を筆者は2004年に聞いている。
 その理論の内容は井深氏と同じもので、井深氏の考えを取り上げていたという。
 ソニーが活力を失ったのは成果主義のためだ。
 ところが、筆者は皮肉なことに成果主義の本場アメリカでは、ソニーをお手本に、成果主義を否定する「フロー理論」が語られているということに大きな衝撃を受ける

A氏:筆者は井深氏のマネジメント・スタイルを「長老型マネジメント」と名づけた。
 「長老」とは「徳がある人」だという。
 そしてダメ上司を次の6つに分けている。

・マイクロ・マネジメント型:細かいことまで介入する。
・馬頭観音型:ことあるごとに部下を罵倒、叱責する。
・ヒラメ型:常に上を向いている。
・逃げまくり型:保身に走り、責任を取らせられないことだけ考える。
・放任型:何もしない。
・改革かぶれ型:自分を改革のヒーローと位置づけ、自己流にあらゆることを変える。


 筆者はこの最後の「改革かぶれ型」は数が少ないが組織に甚大な被害をもたらすという
 このダメ上司が導入した無責任な合理主義経営が社員を痛めつけ、うつ病などメンタルな問題を抱えた社員が増加していると筆者は言う。
 昨日の日記の「国家の堕落」で藤原氏は、アメリカのような人口あたりの精神カウンセラーが日本の60倍という世界が待っているというが、まさにその道を進んでいるんだね 
 「企業の堕落」だね。
 「唯金論」に侵された日本だね。
 なお、天外氏は「マネジメント革新」という本を出しているね。

       


:2年ほど前に富士通の人事部の人が書いた「内側から見た富士通『成果主義』の崩壊」(光文社刊)があるね。
 俺たちの時代には、まだ成果主義が一般的でなかったので、成果主義がピンとこなかったが、この本は具体的に書いてあったのでわかりやすかったね。
 例えば、著者本人は、人事部でルーチンワークをやっていたので、確固たる「目標」はない。
しかし、「目標シート」を書かなければならない。
 そこで「退職に関する稟議が上がってきたら3日以内に処理する」「退職金の計算を間違えない」など、まるで小学生のような目標を「目標シート」に記入し、上司の了解を得たという。
 俺はこの例で成果主義の問題点がピンと来たね。
 些事は大事だね。
 著者が出席したある部の評価会議では、部長の前に、約千枚の「目標シート」が積まれ、その山を見た部長は、評価が嫌になり、個別に見なかったという。

A氏:俺もこの本を読んだよ。
 この本の著者はその無理な「成果主義」の推進の根底には、それを推進した人事部やコンサルタントの「机上理論」にあることを指摘して、次のように述べている。

 「『机上理論』の特徴は、それを振り回す人間に、生身の人間に対する洞察力が欠落している点にある。新しい『評価システム』をつくり、そのマニュアルを従業員に配布しさえすれば、あとは従業員がそれにしたがって完璧に作動するはずだという思い込みである。
 人間は部品ではない。
 だから、理論やマニュアル通りには動かない。
 そんなことは誰にもわかっているはずなのに、彼らにはわからない


 この人事部やコンサルタントは、上記の天外氏のダメ上司の最後の「改革かぶれ型」の典型例だね。
          


私:今月号(12月号)「ウェッジ」では「ビジネススクールの流儀はもはや人を幸せにできない」という原丈人氏(デフタ・パートナーズ事業会社グループ会長、米共和党ビジネス・アドバイサリー・カウンセル評議会名誉共同議長)の記事がある。
 ストックオプション成果主義など、アメリカのビジネススクール流の考えだね。
 原氏は「会社の仕事を通じて生きがいをつくり、その結果として個人も金銭的な冨や社会的な充実感を得る。
 その実現のために会社がある。
 米国は株価を上げる経営者であればなんでもよいという時代になっている
」という。
 中長期のことを考える経営者はクビ。
 短期の勝負だ。
 その結果、営利とは異なる目的を持つ大学や中高等学校を株式会社化しようという完全な間違った発想まで生まれるという
 完全な市場原理イデオロギーだね。

 このようなアメリカの手段と目的の取り違えは人々を不幸にすると筆者は指摘している。
 そして日本をそのような国にしてはならないと強調している


A氏:「国家の堕落」の藤原氏流に言えば「金儲けのために堕落した企業」、そしてその上に立つ「堕落した国」にしてはならないということだね。

:今週のTVタックルで市場原理主義のアナリストが「企業が利益を出せば、従業員も潤う」から一体だといっているがリストラの場合、する者とされる者は一体ではないね
 そこにリストラする強者とリストラされる弱者がある。
 弱肉強食がある。
 その現実を知らない経済アナリストが知ったかぶりでのさばるようになったね。

A氏:しかし、今日の朝日新聞の小さい記事で、「労働ビッグバン否定意見相次ぐ」とあるね。
 自民党の「雇用・生活調査会」の初会合のニュース記事だ。
 衆参両院約40名が参加したという。
 政府の経済諮問会議が打ち出す労働市場改革「労働ビッグバン」に対して「我々とは違う意見だと表明し、宣戦布告をしていただきたい」との発言に拍手がわいたという。
 会長の川崎前厚生労働相は「希望がかなわず非正社員になった人たちを、正社員の中間層に招きいれる政策こそ必要なのに、諮問会議はひっくり返った議論をしている」と言っているね。
 君の格差街道のおかげでこういう小さな記事も気になるね。
 この調査会の今後の活躍に期待したいね。





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Last updated  2006.12.14 14:26:11
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