7月京都は祇園祭一色です、宵山の夜に偶然出会った二人の女性にあこがれた団塊オヤジの青春時代
7月の京都は祇園祭一色です。7月1日の吉符入りから始まって、16日の宵山、17日の山鉾巡業とクライマックスを迎え、28日の祇園祭の無事終了を報告し神恩に感謝するまで丸1か月祇園祭はつづきます。京都の祭りというよりもはや日本を代表する祭りなってしまって、世界中から観光客が集まります。今から40年前、団塊オヤジが10代最後の年、祇園祭の宵山に出かけた記憶がよみがえってきました。団塊オヤジは、祇園祭の季節になると毎年想い出す小説ががあります、川端康成の古都です。祇園祭宵山の夜、二人の女性が偶然出会うところから物語は始まります。一人は呉服問屋の大店(おおだな)のお嬢さん千重子、もう一人は北山の木こりの娘苗子、二人は双子の姉妹だったのです。赤ん坊の時千重子は大店の前に捨てられていましたが、大店の両親によって大事に育てられました。苗子は、北山の田舎で北山杉を育てる木こりの娘として育っていったのです。二人は運命の糸で手繰られるように引き合い、お互いに行き来を重ねるようになります。でも苗子はどうしても八重子のことをお嬢さんと呼んでしまいます。お嬢さんと呼ばれることに八重子は寂しさを隠せませんでした。やがて二人に別れの日が来ます。八重子の家に泊まって一緒に枕を並べて寝たのですが、次の朝苗子は静かに八重子の家を後にして物語は終わります。この小説を読んだとき、どうしても祇園祭と北山杉を見たくて京都へ出かけました。北山杉は日本家屋の床柱として使用される銘木で、写真にあるように真っ白な木肌に絞ったような凹凸があります。この凹凸は、杉の幹に箸のような金属を巻き付けて杉の成長過程で凹みをつけます。 杉はあくまで真っすぐに成長させるために、途中の枝を切り落とします。北山の木こりは枝を払いながら木から木へと飛び移りながら木の上で弁当を食べ、1日を木の上で過ごします。苗子の父親は木から木へ飛び移る時木から落ちて亡くなるのです。床柱を作るのには切り出した木の杉皮を剥いで、川の水で木を砂でこすって仕上げるのですが、冬は冷たい水で手がアカギレだらけになるつらい作業です。苗子はこの作業をやってました。 祇園祭の山鉾巡業の主役は長刀鉾です、天にもとどかんばかりの長刀が山車の屋根に取り付けられています。この刃は決して御所のほうに向かないように巡業を続けるのだそうです。19歳のころ祇園祭に出かけた小生は、宵山に出会った美しい二人の姉妹には会うことはありませんでしたが、いまでも想い出に残る祇園祭りでした。